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- 「ART IN THE OFFICE 2015」作品:蓮沼昌宏/「新しい昔話」/2015年/油彩、カンヴァス/130 x 320 cm
本年度は88作品案の中から、蓮沼 昌宏さんの作品「新しい昔話」が選出されました。
のべつまくなしに、あちらこちらに興味を抱いていた二十代が嘘のように、今やほとんどのことに関心を持たなくなりました。しかし、ただ一つ、必要性を感じているのが「物語」であり、物語をつくりたいと思っています。それを表すのは小説ではなく、絵を描くための“よすが”としての、物語づくりです。今回の制作では、小笠原諸島に産まれつつある新島と、気流にのってそこへ入り込んでしまったアリさん、という話を入口にしています。物語の続きは、マネックスの社員との対話を通して、そして絵筆を通して、つくられていきます。僕にとってはもちろん、プレスルームを訪れる方々にとっても縁のある表現を目指して。

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- 作品:蓮沼昌宏/「新しい昔話」/2015年/油彩、カンヴァス/130 x 320 cm
お話をつくるにあたって、その出典元や根拠みたいなものを社員の方たちと一緒に探索できたことが何よりの経験でした。自分一人だけで探しものをするのではなく、これが探しものかもしれませんよ、と手伝っていただいた思いです。社員の方々との交流の一環で、島とアリの物語のワンシーンを描いていただくワークショップを行いました。そのなかである方が描いたシーンに「アリの運動会」がありました。そこではアリがピンクのくす玉を転がしています。そのピンクのくす玉が、完成作品ではマグマの玉となり、アリがくす玉のようにそれをコロコロ転がし、話が進むという具合につながっていきました。 制作現場だったプレスルームの机に、ちょっとした絵を描くスペースを設けたところ、社員の方々がふらっと来てはお話のシーンを描き足し、最終日には60枚以上を超えるシーンが作業用の壁一面に貼られました。そのこと自体も嬉しいのですが、訪れる人にとって、ある意味では仕事の合間の息抜きや社交の場になったことも、滞在制作ならではの出来事でした。 絵は、新しくできた島の煙にアリが乗って、煙の上をトコトコ歩いて探検するという荒唐無稽とも受け止められる内容ですが、一年間このプレスルームに展示されます。その時間を経て、やがて、新しい昔話になることを祈っています。
蓮沼 昌宏
1981年東京都生まれ、千葉県育ち。美術作家。2010年東京芸術大学大学院博士課程修了。絵画やアニメーション、写真を表現手段とし、物語やイメージの自律性、夢の不思議さへの関心を作品化している。これまで越後妻有里山現代美術館[キナーレ] 2014夏企画展「全ての場所が世界の真ん中-1/100,000の妻有」展(新潟県)、「原始感覚美術祭2014」(長野県)等に参加。2015年7月新潟県で開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に出展予定。
https://hasunumamasahiro.blogspot.com/

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- 展示作品イメージ(素材:油彩、キャンバス)
- 展示作品イメージは、蓮沼氏の完成作品イメージとして掲載するものです。
- 無断転載・複製を禁じます。
塩見 有子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)
今年の審査会では、提案作品の内容やアプローチ、素材、技法に広がりがみられ、積極的な議論が繰り広げられました。作家活動を始めたばかりの方から、すでに展覧会での発表経験の豊富な方までが応募してくれたのもその理由のひとつかもしれません。実は、絵画作品1点での受賞はこれが初めてではないでしょうか。作品は、社員の方を招いての物語作りから始まり、完成をみるということなので、そうした意味でもマネックスにしかない特別な作品になることを期待します。また、過去に数回応募した上での受賞と聞いています。アワードとは、ART IN THE OFFICEに限らず、作家にとっては長い活動の通過点でしかないと思いますが、さらなるステップアップにつながれば嬉しく思います。
住友 文彦氏(キュレーター)
かなりの接戦で最後まで誰が選ばれるかなかなかみえない展開だった。ひとつだけ選ぶ審査ではよくあるが、それだけ真剣な議論が交わされたのではないだろうか。そのプロセスも含めて楽しませていただいた。
受賞作家については彼のキャリアを考えると、このタイミングでの受賞は良い後押しになるように思う。現場で起きるコミュニケーションによって作品が作られるので、実際どのような作品ができるか、なにが起きるかわからない。そうしたプランが採用されたことにも意味があるのではないか。完成作品を楽しみにしている。
長瀬 夕子氏(小山登美夫ギャラリー ディレクター)
初めて公募の審査に参加させていただいたがとても楽しかった。応募者がアーティストという以前に、本当に多種多様な提案があったのが面白かった。受賞作品は、マネックスが求めている、「アーティストが社員とともに作品を作っていく」という点を評価した。また、この公募のテーマがART IN THE OFFICEなので、イラストやインテリアデザイン的なものではなく、これまでの受賞作とは違ったアプローチや表現を行っていると思える作品、というのが審査のポイントとなった。
松本 大(マネックス証券代表取締役会長CEO)
ART IN THE OFFICEも今年で8回目。毎回、審査を進めるうちにだんだんとおもしろくなってきます。他の審査員の方の視点から気づく点も大変多く、審査の過程自体が実におもしろい。今までの受賞作品はある程度できあがりのイメージが湧くものが多かったのですが、今回の受賞作品は構成も色もまだ見当がつきません。少し冒険をしてみました。「未来の金融を創る」という理念を持つマネックス証券も海路のない冒険をしているようなもの。作品の持つコンセプトとマネックス証券のビジョンの重なり。今回の作品は私たちをどこに連れて行ってくれるのか、完成を期待して待ちたいと思います。
森川 亮氏(C Channel株式会社 代表取締役)
これまでも企業イベント等での選考にかかわることも多く審査には慣れていましたが、アート系の審査を行うのは初めての経験でした。徐々に候補が絞りこまれていくと審査員によっての見解が偏ることがありますが、様々な視点からの意見を聞くことができ、難しくもあり楽しくもありました。 今回選ばれた作品は、これまでの受賞作品よりもオーソドックスにアートという面で真正面からぶつかっている作品だと思います。マネックス証券の社員にこれまで以上にエネルギーを与える作品になるのではないかと楽しみです。
本年度は僅差で次点となった田中奈津子氏に対し審査員特別賞を贈ることとなりましたので併せてお知らせいたします。

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- 参考作品:「きょうの壺」/2015/ミクスト・メディア (撮影=Tomas Svab)
身近な素材を用いて、田中氏が日々制作している「壷」の作品を、オフィスでの滞在期間中に社員と共に作り、展示するというもの。「壷」というモチーフを日々作り続ける発想の斬新さや描き方、また社員が完成作品の一部に関わることが評価されました。
田中 奈津子(たなか なつこ)
1981年北九州市生まれ。2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。関西を中心に個展、グループ展に多数参加。日常生活の中で自らが関わったものからイメージを膨らませ、版画的な要素を用いながら、重層的な空間の成り立ちを追求している。2015年より、包装紙や広告、カレンダー等の身近な素材で、毎日壺の絵画を制作する、「きょうの壺」シリーズを展開している。




