第3号議案に関連して伺いたい。取締役候補者の松本大氏は株式会社ジェイアイエヌの取締役に就任しており、同社は眼鏡等の小売業を行う会社と認識しているが、当会社の事業との関連性は薄いように思える。松本氏が株式会社ジェイアイエヌの取締役となっている意義について教えてほしい。

(回答者 松本議長)
私(松本)が他社の社外取締役に就任するのは、当該会社と当会社との事業上の関係構築や提携等を行うためではなく、あくまで私個人の活動として行うものです。
ジェイアイエヌは、コーポレート・ガバナンスの向上のために私を社外取締役に選任したものと考えていますが、同社と当会社グループはいずれも個人のお客さま向けの事業をグローバルに展開している会社であり共通する部分も多いため、私の知見を同社に提供することができ、また同社から私が学ぶこともあると考えています。

新任取締役候補者の石黒不二代氏について、招集通知46ページに記載の注2によれば、同氏の専門的知見は情報技術関連の事業に関わる企業の経営に携わっている点にあるとされているが、これは同じく取締役候補者である林郁氏の専門的知見と重複しているように思う。林氏に加えて石黒氏を選任することの意義を教えてほしい。

(回答者 松本議長)
招集通知46ページの注記は簡単な記載となっているため、林氏と石黒氏の専門的知見についての記載が重複しているように見えますが、両氏の知見が全く同じというわけではありません。石黒氏はインターネット上のマーケティングについて特に強みを持ち、また、米国等の日本以外の地域におけるビジネスに関しても高い知見を有しているため、当会社グループの今後の事業展開において、様々な意見等をいただけるものと考え、取締役候補者としたものです。

招集通知7~8ページのセグメント別の概況に関し、米国および中国の各セグメントにおいては2期連続で赤字を出しているが、それにもかかわらず、これらの地域で事業展開を続けていることについての理念・理由を伺いたい。

(回答者 松本議長)
当会社グループは、もともとマネックス証券株式会社という日本のオンライン証券会社を軸につくられたグループです。マネックス証券においては、日本の個人投資家に対して、日本で一般に提供されている金融商品・サービスや金融情報だけでなく、従前は提供されていなかった、よりよい商品・サービスや情報を世界から持込んで提供することに努めてきました。
一方で、当会社グループ全体の経営という観点で考えますと、日本のみにおける事業展開では収益等が日本の景況に左右されてしまうことになりますので、日本の景況が悪い場合においても株主の皆さまに対する安定したリターンを確保するためには、収益基盤の分散・多様化を図ることが重要です。
そのような観点から、当会社グループとして日本以外でもビジネス展開を行うことが、日本のお客さまに世界の金融商品等を提供するためにも、また株主の皆さまに安定したリターンを提供するためにも重要であると考えました。日本に加え、米国、中国を併せると、国内総生産(GDP)、個人金融資産の額および金融市場の規模のいずれにおいても、世界の概ね70%程度を占めており、この3つの地域において行政や法規制等への対応をすれば、世界の金融事業の70%に関わることができます。そのため、この3つのセグメントでの事業展開を進めることとし、現状では日本における収益がグループ全体の70%程度を占めていますが、将来的には、例えば日本が4割、米国が3割、中国が3割といった割合に持っていきたいと考えています。
また、企業の活力を維持するためには、日本だけにとどまらず、世界に展開して、各地の経営陣、従業員を取込んでグループ内に刺激を与えていくことが必要であると考えています。

米国セグメントおよび中国セグメントにおける黒字化の時期の見込について教えてほしい。

(回答者 松本議長)
米国セグメントにつきましては、当期(平成26年3月期)の第4四半期における利払前税引前償却前利益(EBITDA)は黒字となっています。現状では、 TradeStation Group, Inc.を子会社化した時に発生した無形固定資産等の償却等の影響で最終的には赤字となっているものの、今期(平成27年3月期)の第4四半期あたりには、会計上も最終的な黒字の達成が可能であると考えています。
中国セグメントにつきましては、香港のMonex Boom Securities(H.K.)Limitedでは、わずかながら継続して利益を計上しているものの、中国本土における個人投資家向けの複数の事業に対する投資が未だ収益をあげていないため、セグメント全体としては赤字になっています。今期においては、中国本土における事業が具体的に収益を生む方向に少しずつ動き出しており、来期以降においては収益を計上し、中国セグメント全体での赤字脱却を実現したいと考えています。

取締役各位に、他の取締役の書いた書籍や論文を読んだことがあるか伺いたい。いわゆるSTAP細胞の一件では、研究者が身近な人の書いた書籍や論文を読んでおらず、そのような無関心が問題の発生につながる可能性があると考えている。

(回答者 松本議長)
壇上の取締役で本を書いたことがあるのは、おそらく私(松本)と出井伸之氏のみと思われますが、まず私から回答します。私は、普段、ビジネス書をほとんど読みませんが、出井氏の本だけは読んでおり、たいへん関心を持っています。
(回答者 出井取締役)
松本大氏と冨山和彦氏の共著の書籍については読みました。その他にも、松本氏が雑誌等に書いているものも読んでいます。
(回答者 桑島取締役)
私(桑島)は、読んでいません。
(回答者 松本議長)
当会社の取締役会においては活発な議論がなされており、取締役会以外の場でも交流が行われています。取締役相互に関心を持ちつつ運営がなされているのでご安心いただきたいと思います。

私は、現在の当会社の株価水準は非常に低いと思っているが、松本議長はどのように考えているのか。 また、当会社は配当に力を入れているようであるが、自己株式の取得にも力を入れてほしい。

(回答者 松本議長)
基本的に発行会社の経営者が自社の株価についてコメントすることは控えるべきと思いますが、私(松本)としては現在の株価水準には満足していません。
配当と自己株式取得のいずれが良いのかについてですが、機関投資家や個人株主の皆さまからのご意見を聞く限りでは、配当を望む株主の方も、自己株式取得を望む株主の方も両方いらっしゃるようです。
配当につきましては、当期利益の50%といった配当性向を決めてしまえば、それに従って行うことができますが、自己株式を取得する場合には、様々な要素の考慮が必要となります。そのため、当会社においては配当を基本的な株主還元策としつつ、それとは別途、機動的に自己株式取得を検討すべきものと考えています。当会社では、平成25年5月に50億円程度の自己株式取得を行いましたが、最近は配当による株主還元が中心となっていますので、今後は、時機を見て自己株式取得を検討したいと思います。

株主総会の会場については東京駅周辺とし、開始時間も午後1時くらいからとしていただくことを希望している。 また、株主の発言にあたっては、スタッフが株主席にマイクを持っていく方式にした方が発言しやすいのではないか。

(回答者 松本議長)
株主総会の会場につきまして、当会社は2年ほど前に本社を麹町に移転しており、今回の会場はその近くであることが選定の一つの理由となっています。東京駅周辺で開催すれば大勢の株主の皆さまが参加しやすいとは思いますが、会場の確保が容易でない状況です。費用面も考慮しつつ、株主の皆さまにとって利便性の高い会場を今後も検討していきたいと思います。
株主総会の開始時間を1時にしてほしいとのご意見につきまして、午後から開始する方が参加しやすい株主の方もいらっしゃるとは思いますので、この点につきましても検討していきたいと思います。
株主の方の発言にあたっての方式につきましても、今後、ご意見を踏まえつつ、検討していきたいと思います。

マネックス証券においては、システム障害は大きなリスクであると思うが、システム障害が発生したときに、役員はどのような対応をしているのか、また顧客に対してどのような説明をしているのかをお聞きしたい。

(回答者 桑島取締役)
マネックス証券において、システム障害や一部のお客さまについて接続しにくくなるといった不具合が生じることがあります。これらの障害等の発生については常に監視しており、発生時には迅速な対応を行っています。また、システム障害が機器のキャパシティの問題により生じた場合には、予備の機器の投入等も行い、可能な限り早期にシステムの稼働を再開できるような対策を取っています。
システム障害時のお客さま対応につきましては、マネックス証券からお客さまのウェブサイトに直接メッセージを掲示する仕組や、コールセンターにおいてお客さまからの問合せを受ける体制等を整備しており、さらに体制の充実を図っています。
(回答者 松本議長)
補足ですが、システム障害等には、特定の個人のお客さまにおいて発生しているものから、多数のお客さまに影響を及ぼすものまで様々なものがあります。マネックス証券では開示基準を設けており、例えば、特定の個人のお客さまにおいて取引時間外に発生した障害等につきましては、当該お客さまへの対応を個別に行いますが、一定の人数以上のお客さまに影響がある取引時間中の障害等につきましては、お客さま全員に開示する等のルールを予め決め、当該ルールに従って開示しています。そのうえで、マネックス証券の社内では、システム関係部門による改善対応プロセスがあり、また法規管理部門による法令違反等に係るモニタリングや、品質管理部門によるいわゆるPDCAプロセスを用いた改善対応等が行われています。
上記各部門で抽出された問題については、マネックス証券のクオリティマネジメントシステム確認会議という会議体や取締役会において議論がなされ、さらに、一定の重要な問題については当会社の取締役会に報告がなされて、社外取締役を含めて議論がなされる等、何重もの牽制の仕組が作られています。
障害等が発生した場合には、お客さまに対して十分な説明を行うようコールセンター等にも徹底していますが、今一度、徹底されるよう指導していきたいと思います。

マネックス証券はシステムの改変を頻繁に行っているが、改変に伴って改善すべき点につき意見を申入れたにもかかわらず、半年以上たっても対応がなされていない。システムの改変の際に、本来手当されているべき点を看過するような、安易な改変がなされているのではないか。

(回答者 松本議長)
ご指摘の点を確認し、別途説明したいと思います。
当会社グループとしては、お客さまに対して証券売買等の安定したサービスを提供することが最重要事項であると考えており、この点を蔑ろにすることはありえません。ご指摘の点につきましては責任をもって対応していきたいと思います。

第1号議案の剰余金の処分に関連して、第8期(平成24年3月期)と当期(平成26年3月期)とを比べると当期利益が10倍程度に大幅に増加しているが、その要因を教えてほしい。 また、配当性向が前期(平成25年3月期)の約30%から、当期約50%に増加した理由を教えてほしい。

(回答者 松本議長)
当期利益が大きく伸びたのは、いわゆるアベノミクス政策による日本における株価水準の上昇が最大の理由です。日本の個人投資家の売買動向に関しては、株価と売買代金に高い相関関係があり、株価水準の上昇により個人投資家の売買が増加しました。
マネックス証券は、国内のオンライン証券会社の中で、特に信用取引の比率が低いため、株式市況がよくなったことによる取引量増加の影響を、他のオンライン証券会社に比較して大きく受けています。
加えて、当会社グループは、同業他社に比して、米国や中国での投資なども含めて固定費の水準が若干高いため、収益が増加して利益が出る水準になった場合の利益の伸び率が高く、これも利益急増の一因となっています。
配当性向につきまして、以前は50%を維持していましたが、前期においては、米国でのTradeStation Groupの子会社化や国際会計基準(IFRS)の導入等といった不確定要素の増加により、内部留保充実の必要性が高まったと判断して、いったん配当性向の目標を30%に変更しました。その後、それらのプロジェクトの完了に伴い、当期から50%に戻しており、今後もこれを維持していく考えです。

当期利益についての中長期的な目標などあれば教えてほしい。

(回答者 松本議長)
当期利益の中長期的目標につきまして、現在は、連結の営業収益が約500億円となっていますが、これを中長期的に1,000億円とし、営業収益に対する税引前利益の比率も現在の30%程度から、50%程度まで引上げたいと考えています。

当会社の筆頭株主となった株式会社静岡銀行との今後の取組について教えてほしい。

(回答者 松本議長)
静岡銀行との提携は、マネックス証券のお客さまにより良いサービスを提供することが目的です。銀行的なサービスがある方がお客さまにとってより便利ですし、潜在的なお客さまを開拓するためにも有利であると考えました。これにより、日本国内の事業においてお客さま満足度および業績を向上させる推進力になると考えています。
銀行的なサービスの実現には、銀行と提携することが必要であると思われますが、静岡銀行は、格付や預貸比率で国内トップクラスであるなど経営状態が非常に良好で、経営陣も活動的で先進的・機動的な考えを持っているため、提携先として最適であると考えました。

昨年度と今回の定時株主総会における、実際の出席人数について教えてほしい。

(回答者 松本議長)
昨年度、当日参加された株主の方の人数は430名。今回は、現在までのところ約680名です。

中国における投資について、うまくいかなくなった場合の経営に与える影響、および投資の継続・撤退に係る判断基準があれば教えてほしい。また、撤退すべきときに撤退ができないといったリスクはないのか。

(回答者 松本議長)
ご指摘のとおり、中国は収益機会が大きいもののリスクもたいへん大きいと考えています。中国ビジネスにおいては、ルール等が不透明であることによるリスクや、利益を国外に持出せるか不確実であるといったリスクもありますので、中国本土における投資につきましては、投資額を限定することにより損失の上限額を限定するようにして慎重なリスク管理を行っています。
なお、新任取締役候補者のビリー・ウェード・ワイルダー氏は、中国を含む海外における金融ビジネスへの投資や事業の構築等に深い経験を有しており、その知見を生かしていただけるものと考えています。

企業向け(BtoB)ビジネスにおける現状の規模感およびビジネスの内容ならびに将来の収益規模の目標を教えてほしい。

(回答者 大八木取締役)
BtoBビジネスは、米国のTradeStationグループにおいて先行しており、同社グループの開発した取引プラットフォームにつき米国外への展開を始めています。今月、韓国の大手金融機関への提供を開始し、中東や中国においても提携先との協議が進んでいます。
ビジネスの規模としては、当面は年間の収益で数億円程度にとどまると思われますが、数年以内に米国セグメントにおける収益の10数パーセントを占める規模にまで成長させていきたいと考えています。
(回答者 松本議長)
韓国の例では、大手金融機関である新韓金融投資に対し、同社が同社のお客さまに対して提供する韓国株と韓国の先物取引に係る取引ツールをTradeStationグループの技術を供与して開発したものです。今後は、東南アジア等に展開する可能性もありますが、これにより、当会社グループでは、収益のみでなく、各国の市場に関するノウハウを蓄積することにより、当会社グループのお客さまに対して、世界中の株式等の取引ができるプラットフォームを提供する、さらには、いつか各国に直接進出してビジネスを展開できるようになる可能性もあると考えています。

最近、インターネット上の暗号通信プログラムである「Open SSL」で重大な欠陥が見つかったほか、ハッキングによる被害も増えているようであるが、マネックス証券のウェブサイトのセキュリティについて、どのような対策を取っているのか教えてほしい。

(回答者 桑島取締役)
マネックス証券の情報セキュリティにつきましては、当会社グループとして最も重要な課題の一つとして取組んでいます。ご指摘のあった問題につきましては、対応を完了していますが、さらに、外部の専門家によるシステムの脆弱性監査等を毎年受けるなどの対応を行っています。
(回答者 松本議長)
補足すると、社内での対応に加えて、外部の専門家により意図的にウェブサイトへのハッキングを試みさせてセキュリティの脆弱性をチェックするといった監査等を実施しており、セキュリティ面の問題はないと考えています。また、米国でも同様の対応を実施しています。

各取締役の取締役会への出席率を伺いたい。

(回答者 松本議長)
招集通知の23ページに社外取締役の取締役会への出席状況が明記されていますので、ご参照をお願いします。また、社外取締役以外の取締役につきましては、当期中のすべての取締役会に出席しています。

配当について、一般的に業績がいい場合には中間配当と期末配当は同額または期末配当の方が多額である場合が多いと思うが、当会社においては、当期は逆に中間配当の方が多くなっている。この理由を教えてほしい。

(回答者 松本議長)
当会社においては、基本的に半期毎の当期利益の50%を配当する方針としており、当期は上期の利益が下期より多かったことによるものです。

中国におけるビジネスについて、リスクを管理しながら投資していく、また将来的には、営業収益における各セグメントの割合につき、日本4割、米国3割、中国3割を目標とするとの説明がなされたが、リスクを管理しながら、中国セグメントの収益を3割にするという目標は過大ではないか。中国市場が本当に魅力的といえるかについては疑念を感じているが、この点につき考えを伺いたい。

(回答者 松本議長)
先ほどは収益割合の目標につき、日本4割、米国3割、中国3割と申し上げましたが、それぞれ5割、3割、2割程度が妥当かもしれません。中国ビジネスにつきましては、リスクがあることを十分に理解しており、株主の方にそのような懸念があることを認識して、リスクとリターンを考えつつ慎重に進めていきたいと思います。