(回答者:松本議長)
意義のあるご意見。統合報告書の方に、私や社外取締役からも数名、それぞれの立場において文章を書いている。全員ではないが、9名中半分くらいの取締役が書いている状況。しかしそれは、必ずしも投資する価値という観点ではない。意義深いご提案なので、全員が1枚ずつ書くのが適切かは分からないが、取締役会で議論したい。
(回答者:松本議長)
コインチェックのお客様として口座を見れば、残高が反映されているのでもらえたことが確認できるが、マネックスの株主としてもらえたかを確認する方法は確かにない。どのような方法が適切であるかを検討したい。株主の皆様と発行体とのコミュニケーションを良くすることについては前向きに考えている。また、現状は1回しか付与しないということになっている。今後もビットコインを付与する優待を続けるか、他の優待が良いかは比較考慮が必要だが、選択肢に入れて検討したい。
(回答者:桑島取締役副会長)
ZOOMを使った株主総会やテレワークなどが、この2、3ヶ月世間にインパクトを与えている。
今のところは、サイボウズ様の仕組みを使っているわけではないが、アフターコロナの世界におけるグループウェアで一番効率的なものは何かというのは大切な課題である。サイボウズ様のものを含め、様々なクラウド上のグループウェアを用いて業務を効率化することを考えていきたい。
(回答者:清明祐子代表執行役)
今期からアセマネモデルへの変革を進めている。手数料や信託報酬といったコストを除いて、お客様の資産を増やしていくことに貢献したいという方針である。手数料ゼロ化ということが進んでいるが、手数料が下がって取引回数は増えるが、お客様の資産は増えないということではなく、資産を増やすことにコミットして、その対価をもらうという考え方である。その中で、金融収支というのは信用取引や貸株を想定している。マネックス証券では、信用取引を取引されるお客様が他社比で相対的に少ない状況であり、一般信用の売りや短期信用など信用取引の改善を続けてきた。貸株についても、まだまだご利用されていない方が多いので、マーケティングをしていく。株式の委託手数料を減らすということではなく、収益シェアの中で信用や貸株を増やしていくことを趣旨としたグラフである。
米国株についても、資産を増やしていただくという方針の中で、米国株資産を持っていただこうとしている。最低手数料を引き下げ、9つのETFについては手数料をキャッシュバックしている。そのような環境で、米国株の取引者数は大きく増えている。
カブコムの米国株の件は、S&P500連動の東証ETFのことだと思われるが、やはり本場の米国株に魅力を感じる方も多い。
手数料を下げることについては、株主の視点から見ると懸念点であることは理解している。代替収益をつくれるか、競争優位性あるか等、バランスを見ながら考えていくものである。
(回答者:松本議長)
米株については、米国マーケットのボラティリティが上がった中で、爆発的に取引が増えている。取り扱い銘柄数も国内1位であり、売買できる時間も長い。また、マネックス証券の岡元が幅広くて深いマーケットや銘柄のナレッジを提供している。マネックス証券の米国株はかなり付加価値が高いと自認しており、結果も出ていると思っている。
(回答者:松本議長)
【日本セグメントについて】
これまでのビジネスは売買ツールと情報、市場へのアクセスを提供して、あとは待っているという状況だった。ネット証券それ自体がトレーディングの楽しさや満足を提供していた。
今はそうではなくなってきており、お客様のお金を増やすことが大切になっている。お客様の資産がきちんと増えることにコミットしようというのがアセマネモデルである。
その方法はいくつかある。ひとつはマネックスアクティビストファンド。これはグループ内の子会社であるカタリスト投資顧問が投資助言をし、マネックスアセットマネジメントが運用して、運用成果を上げて、信託報酬や成功報酬をもらうというものである。
この例のように、より良い運用商品を開発して、お客様にお届けし、買っていただく・もっていただくことで、信託報酬を増やしていくつもりだ。
広い意味で信託報酬のカテゴリーに入っているものとして、情報を提供するのではなく、個別のお客様向けにポートフォリオに関するアドバイスを提供・運用をサポートして、アドバイス料金や成功報酬をいただくといったことも考えている。
とにかくアセマネモデルに強くシフトするという意志を信託報酬の増加という形で表している。
【米国セグメントについて】
米国のクリプトについては、トレードステーションクリプトインクがトレードステーションの100%子会社で存在している。そこでは、セミプロのトレーダーがビットコインを取引できるようなものを提供している。また、仮想通貨業界は銀行口座を持てない業者が多いが、トレードステーションクリプトインクは、マネックスグループの中にあるので、銀行口座や通常の法定通貨に対するアクセスがある。他の仮想通貨交換業者にはない強みである。アメリカの中で、仮想通貨やステーブルコインといったレポ取引など、プロフェッショナルな世界での流動性を供給できる立場にある。そこに当社グループとして、収益を伸ばせるスペースがあると考えており、米国セグメントではクリプトの収益が3年後に伸びていくだろうと考えている。
コインチェックは、クリプトアセット事業セグメントに入っているので、このパイチャートには入っていない。2020年3月期は、EBITDAは8億円の黒字。2019年3月期から34億円の改善をした。グループ全体でみると、2020年3月期の改善の最大のコントリビューターはコインチェックだった。事故からの2年間で、内部統制やコストコントロール、金融庁からのフルライセンスの獲得などを行ってきた。グラフには入っていないが、コインチェックのビジネスも今後しっかりと黒字で伸びて、グループ収益に貢献するセグメントであると考えている。
(回答者:清明祐子代表執行役)
そのようなご意見があることは把握している。
アプリについては複数種類が乱立しており、米国株については資金振り替えが必要、米国株アプリのログインが難しいことなど、認識している。今季もいくつもシステム開発の予算をとっているので、ひとつひとつ改善していく予定である。
(回答者:松本議長)
実際にユーザーが使っているところのモニター調査のようなことを定期的に実施したり、マネックス証券については3か月に1回オリコミを開いて、顧客の意見をヒアリングしたりして、対応している。このような努力はしているが、まだまだ足りないと思うので、時代に合わせつつ、さらに早く良くなるようにしていきたい。
(回答者:松本議長)
マネックスグループの業績にとっては、新型コロナウイルスは非常にプラスだった。しかし、新型コロナウイルスで苦労されている方も多い中で、あまり強くアピールはしていない。ボラティリティが上がったこと、リモート勤務が増えたことの2つの要因から、取引量が増えた。日本でもアメリカでも香港でも同じ。
会社の方ではリモート対応を行った。アメリカやコインチェックは90%がリモート。香港は2チームに分けて、50%ずつ出社している。マネックス証券は、マイナンバー関連など、法律の制約もあって会社でなければ行えない業務もあるので、出勤比率は高いが、60%程度がリモートになっている。グループ全体では70%ほどがリモートである。リモートワークに適したビジネスであり、法律制限がなければリモート比率を技術上は上げることが可能であった。現在、マネックス証券では30%程度のリモート率に戻っている。
業績はかなりよい。お客様で引き続き、リモートで働かれている方が多いのと、売買する習慣が復活した方もあり、その慣性が続いている傾向がある。株価が下がると入金・新規買付を行うという傾向も、強く見られる。現状は、継続的に売買が好調な状況が続いている。7月に第1四半期の発表があるが、その中でどのくらい好影響があったかをご説明できるだろう。
新型コロナ後については、ある程度、不可逆的にリモート比率が高くなると思う。これは当社グループにとってチャンスであり、待っているだけでなく、さらに商いが増えるよう、新規サービスの提供など攻めていきたいと考えている。
株価については、様々な施策を行い、業績を良くしていく。加えて、株主還元も積極的に行っている。自社株買いも入れると、総還元性向は8割を超えている。資本政策やIRにも力を入れて、株価を上げていきたい。
(回答者:萬代克樹執行役)
定期積立やドリップ(配当再投資)については、要望が多いことを認識している。今季に予算をとっているので、開発を進める段取りをしている。
取り扱い銘柄について、数は多いと自負しているが、それでもバイオ関係の時価総額が小さいものは取り扱いが漏れているのも事実である。どうしても数日掛かってしまうというのはあるが、そういうことがないように、事前に流行りそうな銘柄を入れる、IPO直後に入れるということはしているが、それでも取り扱いが漏れている銘柄については、お客様からご要望を承れるような仕組みを検討していきたい。時間が3日かかるという点の短縮も検討したい。
(回答者:松本議長)
要望をいただいてから取り扱うまでの時間の短縮は、社内の話のはずなので、短縮できると思う。システム的には、TradeStationがあるのですべての銘柄に繋がっている。社内的な手続きの問題だと思われるので改善する。
(回答者:松本議長)
引受については、もともとオンライン証券初の単独主幹事がマネックスであるなど力を入れてきたが、SBIが注力し始め、他社は撤退した。今残っているのはSBIと当社だけである。
過去5年でみて、日本におけるIPOの引受社数でいうと5位以内には入っている。SBIや野村、大和には残念ながら負けているが、引受数自体は少なくはない。しかし、引受手数料を増やすためには主幹事を増やす必要がある。数年前にマネーフォワードの共同主幹事を行った。今も共同主幹事として取り組んでいる会社が複数ある。当社は単独主幹事ではなく、共同主幹事で引き受けることで、もう1社が発行体にとって機関投資家や銀行・海外へのアクセスを提供し、国内の個人投資家やインターネット上の投資家にはマネックスがアクセスするという形が理想的だと考えている。IPOだけを考えると、ネット証券の単独主幹事でも個人投資家が買ってくれるので高い値段がつきやすくて良いのだが、その後のフォローを考えると、共同主幹事が発行体にとっても良い。このようなパッケージを提供して、主幹事案件を増やしていきたい。
成功報酬については、マネックスアクティビストファンドが、かなり深いエンゲージメントを企業に対して行う。成績のよいポートフォリオマネージャーと、ヘッジファンド出身のマーケットに詳しいトレーダーがいて、それをアナリストがサポートしている。かなり企業と深く関わる運用をしていく。このマネックスアクティビストファンドが、ヘッジファンドのような20%の成功報酬をもらうことになっている。今後の信託報酬の伸びには、これも含まれている。
当社グループは、地理的にも、ビジネスのドメイン的にも分散している。それぞれのセグメントの中でも、様々な収益源を分散させて、利益を上げていきたい。