(回答者:松本議長)
定款変更によって株主総会で剰余金の処分を決議する権限を失わせるのではなく、取締役会でも決議ができるということを意図している。定款変更案第47条は、「法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる」と定めており、法的に株主総会で剰余金の配当を決議する権利を失わせるものではない。会社法で本来定められている、株主総会決議に加えて、取締役会決議でも、配当を行えることを追加で規定したものである。
2つ目の質問については、本年4月1日に新しい経営体制を構築する際に、現在の執行役10名に、現在常務執行役員の清明祐子を加えた、合計11名の執行役が必要であるという判断になったところ、現在の定款上は執行役の上限が10名であり、増員の必要性が生じた。1名を加えた11名に変更することも考えられるが、今後さらに執行役を増やす必要が生じた際に、度々執行役の上限についての定款変更を総会に議案を上程することは適切ではないと考え、15名とした。
(回答者:松本議長)
機能の変更については、後程、マネックス証券の担当者に、直接、お話をお聞かせ頂きたい。
ガバナンス体制については、毎日、コールセンターで受ける電話やEメールの内容について、オペレーターだけでなく、スーパーバイザーやその上の者も確認している。また、電話等の内容についてはコールセンターだけでなく、実際にサービスやシステムを担当する部署にも展開しており、質問内容を記載したファイルについて、社長や役員等も閲覧している。私自身、現在、マネックス証券では、会長CEO兼CHOという立場にあるが、実際にコールセンターに赴いてサンプリングを行ったり、お客様からの電話やお手紙の内容を確認したりして対応を指示している。また、お客様からの要望やクレームについて、活字で読むだけでは響かないので、コールセンターで、電話を一日1、2件選んでもらい、その音声ファイルを、マネックス証券内の役員・部長等が聞けるようにするなど、きめ細かく対応している。その他、私と社長の勝屋等が参加する週一回のミーティングで、お客様からの要望等を確認するようにしている。ガバナンス体制としては、しっかりとやっているつもりだが、このような意見を頂くということは、結果が伴っていないということなので、再度しっかりと見直したい。
(回答者:松本議長)
執行役CAOの田名網から、本件についてのマネックス証券の考えを回答する。
(回答者:田名網執行役CAO)
公開買付に応じず、価格決定の申立てをして勝訴した事例があるということは、承知している。大変、貴重な意見である。一方、個人株主の立場を考えると、価格決定の申立てがコスト倒れになる可能性もある。その点も含めて、引き続き検討したい。
(回答者:松本議長)
本件には色々な側面があるので、できるだけ個人投資家にとって良いように、対応を考えたい。
(回答者:松本議長)
剰余金の配当に当たって、当社は、配当利回りではなく、DOE(株主資本配当率)の2%を目安としている。
私は、安定配当ではなく、株価を上げたいと考えている。日本セグメントでも、コストが高くて利益が伸びていない。しかしこれは、今後マネックス証券として、競争力をつけ、かつコストを下げて利益を上げるためである。大手証券系の構築した基幹システムを使うのではなく、自分たちでシステムを構築して持つことにより、独自のサービスを提供することができ、かつ、コストも下げられる。その結果、利益が大きく増えるということを目指している。しかし、システム開発に時間がかかっており、去年、今年は、外部の基幹システムと、内製化したシステムが並行で動いている。今期中に、内製化したシステムにすべて切り替える予定だが、現在は、並行で動いているために、コストが二重になり、利益が伸びにくくなっている。この点、利益が伸びないからといって配当を行わないということは適切ではないので、株主資本に対して、年率で最低でも2%は配当を払うということである。安定配当を行おうという発想ではなく、少なくともそのくらいは配当を行いたいということで、DOE(株主資本配当率)という概念を導入している。オンライン証券は、さほど資本を必要とするビジネスモデルではないので、余った純利益については、株主の皆様に返すべきであると考えている。そのため、当社においては、複数年度に渡る総還元性向(純利益に対して何%の金額を配当もしくは自社株買いで株主に還元するかという指標)の目標を、75%という、大変高い数字に設定している。
いずれにしろ、私は、安定配当をする会社にしたいとは考えていないので、会社の価値を上げ、結果として、株式価値が上がっていくよう経営を行いたい。現在、結果があまり伴っていないということは、重々承知しているので、しっかりと結果を出すように努めていきたい。
(回答者:松本議長)
通勤や東京証券取引所等へのアクセス等の観点から便利であること、十分な面積があり、賃料がリーズナブルということで移転先をアーク森ビルに決定した結果、港区に移転することとした。区に着目して選定したわけではない。
(回答者:松本議長)
1つ目については、当社執行役共同CFOの上田から、借入の状況等について説明したい。
(回答者:上田執行役共同CFO)
借入の方法には、変動と固定があるが、変動で借りているものについて、金利低下に伴うメリットを試算すると、年間5400万円程度である。
(回答者:松本議長)
ほとんどの資金を、短期で借りている。当社の借入は、多くが、信用取引等の顧客に貸し付けるためのもので、短期で銀行から借りている。短期の場合には、短期金利にスプレッドを乗せており、スプレッドがそれなりなので、全体として大幅に安くなるということではなく、ただ、今の金利が下がった中で、5000万円程度は、金利負担が減っているという状況である。長期で借りているものであれば、イールドカーブが寝てしまって、長期金利もすごく低い中で、借り換える等、大きく負担を下げられるチャンスがあるかもしれないが、主に短期であるので、あまり利益はない。
2つ目の、当社のマネックスらしさについては、マネックス証券の社長で、当社執行役CPOの勝屋から回答したい。
(回答者:勝屋執行役CPO)
マネックスらしさとしては、創業以来、プロの投資家が使うサービス・商品をリテールの顧客に提供してきたことが挙げられる。マネックスナイターもその一環だが、最近は、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社を設立し、ラップ口座の提供を考えている。これも、機関投資家が享受しているものと同等のサービスを、簡単かつリーズナブルに皆様に提供したいという趣旨である。このようなイノベーティブな活動をもっと加速させていかなければならないと考えている。
(回答者:松本議長)
プロ向けのものを皆様に提供しようというのが、我々のひとつの柱である。
若干業績が良くない中で、大人しくなっていると感じているが、投資というのはエンターテイメントの部分もあり、今のようなご指摘も頂いたので、そういったものも見つめ直して、マネックスらしく、もう少し明るくやっていきたい。
(回答者:松本議長)
貸借対照表上、固定資産は982億であるが、そのうち、関係会社株式が786億、関係会社長期貸付金が106億で、これらが大部分を占めている。マネックスグループは、マネックス証券、トレードステーショングループ等の証券会社を持ち、あるいはトレードステーショングループに対して、長期貸付を行っているので、その価値が、関係会社株式等として現れている。不動産等、一般的に想定される固定資産ではなく、子会社の株式がほとんどである。ただ、一方で、現在のような状況を考えると、会社全体のバランスシートマネージメントとしては、コンパクトにする方がいいのではないかとは考えている。より資本効率を良くし、海外にも、子会社株式という形であっても余計に固定的なものを持ちすぎないようにして、激動する環境に対応しやすいように気を付けたい。
(回答者:松本議長)
個人的には、アメリカのVIX指数はあまり上がらないと思っている。中央銀行が先回りをして、流動性の供給を行うなど、大変きめ細かく対応しているので、生命維持装置付きのマーケットのようになっている。大国であり先進国であるにもかかわらず、長期金利で1%以上あるというのはすごいが、それでもなお、金利もだいぶ下がっているなかで、マーケットのアクティビティ、ダイナミズムはかなり低下しており、今後も急激に回復していくとは考えていない。したがって、アメリカでは、4月にも人員を削減してコストカットを行ったが、さらにコストカットをする必要があると思う。アメリカセグメントは、今のままでどうにかなるとは考えていない。簡単には環境がよくならないという前提で、それでもなお、黒字となるような手術をしなければならないと思っている。ちなみに、個人投資家の方々も多いので付言すると、アメリカの株が下がるということを言っているのではなく、ゆっくり上がるとは思うが、あまりボラティリティを伴わないでマーケットは存在していくのではないかと考えているので、固定費やコストの削減、違う手法による収益の増大等、マーケットが大きくならないという前提での取り組みを実行していきたい。
(回答者:松本議長)
社外取締役は、当社株式を保有しており、招集通知9ページ以降の、「第3号議案 取締役11名選任の件」の各ページの下部に、所有する当社株式数も参考として記載している。私は、社外取締役も、株主と同じ目線で、当社の株式を持つことは良いことだと考えている。当社の筆頭社外取締役の槇原取締役からも見解を聞きたい。
(回答者:槇原取締役)
この点についてはいろいろな見解がある。私も日本、ヨーロッパ、アメリカの会社で社外取締役を経験しているが、例えば、ヨーロッパでは、株を持つことによって、株価にばかりに集中してしまうという考え方で、株を持たない社外取締役もいる。アメリカは、どちらかというと、株を持っていないと非難される。日本は、その中間だと思う。私は松本と同じで、やはり社外取締役というのは、会社、特に会社の株主の代表なので、株を持つことにより、株主と同じ目線で、常日頃株価についても考えるようになると思う。人によっていろいろ考えが違うので、個人判断だが、少しぐらいは株をもって、常に株価の変化を肌で感じることが非常に大切だと思う。
(回答者:松本議長)
この点は指名委員会の担当事項ではあるが、今後、新任取締役候補を選定する際に、いろいろな意見に耳を傾けながら、フィードバックをしたうえで議論していきたい。
(回答者:松本議長)
1つ目の静岡銀行との資本業務提携の状況については、担当者である当社常務執行役員の清明祐子から説明する。
(回答者:清明常務執行役員)
静岡銀行とは、互いの強み、経営資源、ノウハウ等が異なる。これらを掛け合わせ、両社の顧客に対して付加価値の高いサービスを提供し、両社の事業の拡大と経営効率化を図るため、様々なレベルで2年間協議をし、両社の既存ビジネスの延長線の協業については様々実行してきている。現在も、中長期的な視点で新しい金融サービスについて協議している。公表できる段階になれば、皆様にご案内する予定なので、しばらくお待ち頂きたい。
(回答者:松本議長)
2つ目については、静岡銀行が三菱UFJ信託銀行の口座を経由して株式を取得したので、一時的に三菱UFJフィナンシャル・グループの保有する当社株式の割合が5%を超過し、このような報告が出たと理解している。カブドットコム証券については、株券貸借取引の結果、カブドットコム証券名義で保有している当社の株式があることから、三菱UFJフィナンシャル・グループの共同保有の定義に当てはまり、大量保有報告者として発表されていると理解している。今回は特殊なケースであり、三菱UFJフィナンシャル・グループが当社の株式を戦略的に所有しているということではないと理解している。
(回答:松本議長)
現在の当社の株価については、本当に恥ずかしいと思っている。収益が予想より伸びないのは、マーケットが悪いということもあるが、コストが想定より下がらないことも原因だと思う。先ほど述べたように、収益を増やしコストを下げるために自製のシステムを開発しているが、開発が予定より長引いており、コストがなかなか下がっていない。仮に、アメリカを切り離し、日本のマネックス証券だけを子会社として上場しているとすると、おそらく、株価は少なくとも今の倍はあると思う。また、アメリカのセグメントは、黒・赤ほぼブレークイーブンで利益も損失もないような状況だが、ブックバリューだけで200億円以上ある。理論的に言えば、日本単体の企業価値に、アメリカのトレードステーション社の簿価を足すと、株価は今よりも断然高いはずである。しかし、それをアナリストあるいは機関投資家等に対してしっかり説明ができていない、あるいは、説明しても信頼してもらえていない。収益が足りない、コストが下げきれない、当社の企業価値をしっかりと、投資家・アナリスト・マーケットに対して、説明がしきれていないということが、現在の株価低迷の理由と考えている。責任は、私を初め役員にあるので、重く受け止めている。この状況を少しでも早く解決できるよう取り組んで参るので、もうしばらく状況を見てほしい。
(回答者:松本議長)
現在、INSIGHTという、日本株用の株価情報サービスがあるが、設計上、INSIGHTで米国株等の情報も提供することが可能なので、よりわかりやすく提供していきたい。
(回答者:松本議長)
毎月第3営業日に、前月の月次概況を、当社のホームページ上で発表している。そちらに、アメリカ・中国等を含めた取引件数や、日本のマネックス証券の口座数、約定件数、信用残等すべて開示している。加えて、アメリカの稼働口座数も、毎月開示している。中国に関しては、香港と杭州にジョイントベンチャーがあるが、小規模なので同様の開示はしていないが、今後検討していきたい。
アメリカのビジネスについては、先ほど申し上げたように、放っておいてよくなるものではないと考えている。人員削減その他を含め、今期(2017年3月期)中にさらに進めたい。去年は、第2、第3四半期は黒字化したが、第4四半期は一時費用により赤字となり、平均するとほぼフラットだった。今期はさらにコスト削減し、収益を増やして、しっかりとした黒字にできるようにしたい。日本でもコストカットは行っているが、人員に関しては、どちらかというと余裕のない状況なので、当社外に対する支払等について、削減していきたい。システムが完全に入れ替わるとコストが下がるが、まだ下げられると思うので、日本においても、しっかりとコスト削減に取り組みたい。
(回答者:松本議長)
スレデニ氏とは、アメリカの責任者として5年間一緒に働いてきた。アメリカ事業の黒字化は大きな課題であり、スレデニ氏にもそのことは強く求めてきたところ、2016年3月期の第2、第3四半期が黒字化した。また、トレードステーション社とマネックス証券が共同して開発した、JPEQという日本のアクティブトレーダー向けのトレーディングツールも、今年の3月末に先行評価版として、リリースにこぎつけた。アメリカの状況も良くなり、辛い投資期間を経て、収穫の期に入っていくタイミングで、彼の方から、次のリーダーにバトンタッチしたいという申し出があった。スレデニ氏と一緒に16、7年苦労してきた、バートルマン氏にバトンタッチし、結果を実現させることによって、強い次の経営層を作っていこうということで、辞任を受け入れた。
スレデニ氏の退任後は、あえて、社内の取締役ではなく、独立社外取締役として、堂前宣夫氏を迎えることになった。これは、指名委員会において、海外展開やマーケティングについての同氏の知見が、当社には大変有効であると判断されたためである。この結果、指名委員会において同氏を含む取締役候補者11名が指名された。