(回答者:松本議長)
投資運用業務全般について当社としては重要と考えている。当社が51%株式を保有しているマネックス・セゾン・バンガード投資顧問を伸ばしたいと考えている。投資運用業は重要なため、買収という手段も選択肢の一つとして考え得る。
(回答者:松本議長)
他会社の役員兼任についてはメリット、デメリットがある。時間が割かれる一方で、世界のテクノロジー、金融の状況を理解できるしガバナンスの観点から学ぶことも多い。当社グループ内の兼任については減らすという考え方は十分あり得るし、今後減っていくだろう。第二の創業を打ち立て、マネックス証券を大きく変えていくという中で社長を兼務している方が組織や人員をスムーズに動かせることもあってマネックス証券の社長に復帰したが、将来的にはグループ会社の経営者を分散しようと考えている。
後継者育成については、CEOの後継者のプランを指名委員会に提出しており、また、経営者に必要となる資質について取締役会で確認、議論している。社内でどのように人材を育てるか、社外でどのような人を探すか等取り組んでいるところである。
社内の取締役人員数については、当社は指名委員会等設置会社であり執行部が経営し、取締役がその監督をするという会社形態であることを考えると、社外取締役の割合が半数を超えている方が良いと考えている。但し、社外取締役が多すぎると日程調整がつかず、集まって議論する場が設けづらくなる可能性があるため、社外取締役6名、社内取締役3名という比率が適切と指名委員会が判断した。
(回答者:松本議長)
アジア・パシフィックセグメントの主なビジネスは、香港のマネックスBOOM証券、オーストラリアのMonex Securities Australia Pty Ltd、中国本土でのジョイントベンチャーの三つである。マネックスBOOM証券は2018年3月期第1四半期に担保証券として受け入れていた上場株式が売買停止となったことで担保の評価が0となり、上場株式の売買再開の可能性がないことで3億円の損失を計上し、赤字となったが、それがなければ黒字であった。中国のジョイントベンチャーは、2018年3月期は黒字になっている。オーストラリアは2019年3月期の終わりには単月で黒字化したい。
アジア・パシフィックセグメントの課題は規模を大きくすることで、各拠点でその課題に取り組んで行きたい。連結収益に占めるアジア・パシフィックセグメントの割合が2%は少ないと考えており10%程度まで伸ばしていきたい。
(回答者:蓮尾執行役CFO)
米国の事業は一般的にVIX指数が上がれば収益が上がる。2018年3月期はVIX指数が上がったので収益が上がった。金融収益は預かり金の運用益が収益となるので短期金利の上昇により収益が増加した。売上収益については、2017年3月期に日本セグメント向けに取引プラットフォームを販売したが、2018年3月期にその販売益がなくなったので、売上収益の減少となった。
(回答者:松本議長)
VIX指数に連動するETFが暴落したことで、お客様向けの貸倒損失が発生し、6億円の損失を計上したが、この損失は特別な要因によるものであり、今後は発生しないと考えている。なお、金融収益については、今後は0.25%の金利上昇で5億円、0.5%上昇で10億円程度の金融収益の増加を予想している。
(回答者:松本議長)
総還元性向は複数年度で75%と決めていたが、2018年1月に単年度100%と変更した。マネックス証券の基幹システムの完成後、減価償却が多くキャッシュフロー上利益が大きいのに会計上そのように見えていない状況にあったが、減価償却が完了したら利益が増加することを理解してもらうために、総還元性向を単年度で100%に変更した。
一方、2018年4月にコインチェックの当社グループ化を決めたことで、新しい金融サービスを創ることが現実的に見えてきた。コインチェック内での新たな投資はコインチェックの自己の利益の中でできるが、新しい金融を創るには一定量の資金が必要となるため、総還元性向の目途を複数年度で75%に戻すこととした。
基本的にオンラインでビジネスをしている当社グループは、それほど資本を抱える必要もないし、大規模な投資が必要な会社でもないと考えているので、総還元性向は本来的には100%に近くて良いと思っている。
(回答者:松本議長)
現在、コインチェックでは、社内のセキュリティ開発の他に、外部のセキュリティソフトを使ったり、セキュリティコンサルティング会社からのアドバイスを受けたりしている。セキュリティの専門家の確保については、グループ内での人事異動や、外部からの採用も含めて対応している。世界標準でセキュリティを考えなければならないので、マネックスグループや、私個人のネットワークなどを使って、世界的に優れたセキュリティのツールや専門家を確保して、サイバーセキュリティの強化に取り組んでいる。セキュリティ対策はいたちごっこなので、不断の努力でコインチェックのみならず、マネックス証券、トレードステーション含めて、世界レベルで今後も継続してセキュリティの強化を進めていく。
(回答者:松本議長)
端的に答えると、リンクしていない。コインチェックのグループ入りの発表は2018年4月6日で、実際にグループ入りしたのは4月16日である。今回の総会付議議案を決めた指名委員会は4月18日に開催されたが、実際には3月頃に取締役選任候補者を考えていたので、今回の総会に付議されている取締役候補者の選任とコインチェックのグループ入りとのリンクはない。しかしながら、今回の総会付議議案については、2017年10月に発表した「第二の創業」を考慮した取締役構成になっている。今後環境が大きく変わっていく中で、来年に向けた取締役会構成を指名委員会で考えていきたい。
(回答者:松本議長)
スケジュールはなんとも答えられない。4月6日のコインチェックのグループ入りの記者会見で、業者登録は2ヶ月程度を目標にしたいと発言し、その後の取材でも目標は変えていない発言をしている。最終的に業者登録の可否を決めるのは金融庁であり、当社はビジネスの再開に向けて全力で取り組んできている。目標は変えないが、少しだけ遅れている。6月中の業者登録はぎりぎりになっており、現実的には6月中という目標の達成は簡単ではないが、コインチェックの内部管理、セキュリティの改善は順調に進み、金融庁とのコミュニケーションもしっかりできているので、スケジュールの大幅な変更はないと感じている。
マネックスグループは、ここ数か月で仮想通貨ビジネスをものすごい速さで学習してきた。金融庁も同様であり、目線が変わってきた中で6月22日の金融庁による複数の仮想通貨交換業者に対する行政処分がなされたと思う。
コインチェックの収益規模については、2018年3月期の決算説明資料で、未監査の2018年3月期およびNEMの不正送金後の2018年2月~3月の2か月間の決算数値を開示した。今後は、コストも増え、競争が激しくなるなかで利益率は低下するだろうが、セキュリティや人材確保などに対するコストの増加は限定的。
コインチェックの内部管理、サイバーセキュリティのレベルは上がってきており、このレベルが仮想通貨交換業界のスタンダードになれば、参入障壁が高くなり、競争はそれほど激化せずに、利益率は維持できると思う。セキュリティレベルを強化し、お客様を守ることで、顧客基盤を拡大し、元のコインチェックの利益まで戻していきたい。
(回答者:蓮尾執行役CFO)
株主資本コストは概ね8%と見ており、2018年3月期のROE8%は株主資本コストを上回る結果を出せている状況である。借入金の増加については、主に日本国内の証券ビジネスの信用取引の増加により事業をするうえで必要な資金を借り入れているものである。
(回答者:松本議長)
証券業としては、資本、負債よりもROEが重要と考えており、15%、20%を目指していくべきだと考えている。
(回答者:石黒取締役)
現在、ネットイヤーグループの代表をしている。ネットイヤーグループは2008年上場のデジタルマーケティングを支援している会社で200社以上の取引先を抱えている。
マーケティングは日本では狭い概念で捉えられるが、商品の企画、広報、宣伝、カスタマーサービス全てがマーケティングであり会社の経営の根幹となる概念である。
日本の会社は営業が強いが、マーケティングは営業がなくても売れる仕組みを作ることであり、良い商品を作ること、良い場所に置くこと、適正な価格を設定すること等マーケティングができれば営業がなくても売れる。米国で本場のマーケティングを学び、スワロフスキーでは新規事業のマネージャーとして採用され、ブランディングをして初めて消費者向けに商品を展開する事業に携わり商品や販売チャネルの開発等に関わってきた。自身のキャリアの中心はエンジニアとマーケティングと考えている。
(回答者:槇原取締役)
多様性には、世代、ジェンダー、地域など複数の要素がある。当社はグローバル企業なので自身についてはグローバルのことが分かるという点が強みであり、海外のオペレーションについて貢献できていると考えている。取締役会の人員を見ると多様な経験をしてきて様々な観点からサポート、アドバイスすることが出来る人材が揃っていると考えている。
(回答者:出井取締役)
現在、非常に世の中が大きく変わってきているが、取締役会の人員は知識レベルも非常に高く、世界的な企業として成長するに当たっては適切な人員が揃っていると考えている。今後3年程度で世の中が大きく変わると考えており、その中で攻めと守りの両方の観点が必要だがその意味でも今の人員は非常に良いと考えている。これからも当社の変化を見守っていきたい。
(回答者:松本議長)
米国セグメントについては、2018年2月にVIX指数に連動するETFが暴落したことで、お客様向けの貸倒損失が発生し、6億円の損失を計上した。他の米国証券会社の損失は当社以上であるが、今後は同様の損失が発生しないようにする。
アジア・パシフィックセグメントについては、前述の通りマネックスBOOM証券が2018年3月期第1四半期に担保証券として受け入れていた上場株式が売買停止となったことで担保の評価が0となり、上場株式の売買再開の可能性がなくなったことで3億円の損失を計上したものである。
(回答者:槇原取締役)
金融業界では報酬は非常に重要であり、我々もセンシティブに考えている。会社全体の社員の働きぶりを見るのは難しいが、執行役等シニアレベルの報酬については細かく見て報酬委員会で議論している。当社はグローバル企業であり外国人も多く、報酬に対する考え方も様々である。役員報酬は固定報酬、ボーナス、株式等で構成し、報酬委員会で細かなデータを見ながら決定している。取締役としては直接顔を合わせて話す機会を設け人となりを知り、加えて業務実績を加味し総合的な判断をしている。
(回答者:松本議長)
予算は充分にあるので、問題ない。人材は現時点で全て揃っているとは思っていない。若い人材、ハイレベルのマネジメントができる役員層、マーケティングの分野の人材層をより厚くしないといけないと考えているが、現時点で大幅に不足している人材があると考えておらず、また、戦略を十分に実行できる資本もあると考えている。
(回答者:松本議長)
法定書類に関する手続きや質問等に対しては、全て法令等に基づき適法に対応している。
(回答者:松本議長)
社内取締役が5名から3名に減るが、勝屋取締役、立野取締役の2名は常務執行役として今後も経営に関わる。当社では、取締役会は監督機能を有し、経営は執行部が担うが、勝屋常務執行役はコインチェックの社長として、また、立野常務執行役はCIOとしてそれぞれ重責を担っている。
執行部と取締役会との牽制を働かせるうえで、取締役会は社内取締役1名に対し社外取締役2名という構成が議論の進め方等の点から良いという意見が多数あったこと等を踏まえて今回の構成としたが、執行部のモチベーションについてはしっかり対応する。
(回答者:松本議長)
私は、マネックス証券が中核と考えており、マネックス証券がしっかりしていないと当社グループは機能しないと思っている。環境がダイナミックに変わってきているなかでコインチェックが当社グループに入り、マネックス証券としても大きく成長していくことができる。マネックス証券とコインチェックにはそれぞれ約170万人のお客様がいる。お客様の主な年齢層のイメージはコインチェックが10代から35歳程度まで、マネックス証券が30歳以降と、あまり重なっていない。たとえば、マネックス証券からコインチェックのお客様に対して、証券の税制メリットや分散投資、クロスセル取引を訴求するといったことでグループ全体のシナジーを向上させたい。
(回答者:槇原取締役)
コインチェックの株式取得は短期間で決定しなければならなかったこともあり、非常に密な議論を行なった。取締役会以外でもメールや電話、対面などで議論を進め、執行部からのプレゼンを受け、状況がどう展開するか分からない中ではあったがきちんと議論したうえで判断した。仮想通貨については、第二の創業の流れの中で以前から取締役会でも議論されており、取締役側も各々勉強しベースとなる知識が十分あったため、踏み込んだ議論をすることが出来た。
全くリスクがないわけではないので、バランスをどう取るかという点を踏まえて深く議論した。
(回答者:松本議長)
昨年度の当社取締役会は10回開催されたが、コインチェックの株式取得の際には正式な取締役会ではないが、メールや電話等の場合も含めて1週間に4回程度、取締役会のメンバーで議論を行った。社外取締役の方からは大変協力的に、また積極的に意見をいただき短期間ながらかなり密な議論ができた。