2008年より当グループが社会文化活動の一環として開始した「ART IN THE OFFICE」プログラムについて、当社の子会社であるマネックス証券が、本年度も「ART IN THE OFFICE 2011」としてプログラムを実施することといたしました。このたび、75点の応募作品案の中から、本年度のマネックス証券のプレスルームの作品を制作するアーティストとして、渡邊トシフミ氏を選出しました。
渡邊トシフミ氏コメントおよび作品コンセプト:
これまで彫刻、ドローイング、ミクストメディア等で、コンセプトや技術力を重視した作品に挑戦してきました。昨年末、ふとそこから離れ、子供の頃ただ純粋に好きだった「絵を描くこと」に戻ってみることにしました。そしてこのシンプルな水彩ドローイングの作品が誕生しました。ポートレイトは、実在する人間、あるいは僕の想像から生み出されたキャラクターです。地球や宇宙にはいろいろな人間や生物がいます。まだ僕が出会い見ぬ人間や生物を想いながら丁寧に描いています。オフィスに訪れることが楽しくなる空間を提供したいと思います。
渡邊トシフミ(わたなべ としふみ)氏プロフィール
1985年新潟県新潟市生まれ。東京都在住。2009年日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻修了。在学中は主に鉄を素材とした彫刻を手がける。日常における繰り返しの行為から着想を得、生活空間をわずかに変化させることの面白さを追求している。2010年には、「Bank ART Artist in Residence 2010」に参加し、ハンガーやコーラのペットボトル、フライドポテトの空箱等の既製品と共に、色彩豊かなドローイングを展示するインスタレーションを制作した。2011年6月、横浜にあるアートスペース「blanClass」にて開催される「Youngest Artists Night [semi-documentary]」に参加予定。
近藤 健一氏(森美術館アソシエイト・キュレーター)
会議や取材対応に使用する「プレスルーム」に展示される作品を選ぶということで、美術館での展示とは異なる選考基準も念頭に置きながら審査に臨んだのですが、普段とは違う視点で作品のことを考えることができ、新鮮で貴重な体験をさせていただきました。想像上の人物や生物が主題の親しみやすいこの作品からは、「オフィスに訪れることが楽しくなる空間を提供したい」という作家の思いが伝わってきます。会議の参加者やプレス関係者を和ませ、思わず本音も飛び出るのではないでしょうか。
塩見 有子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ理事長)
とてもシンプルなアイディアでしたが、色の組み合わせの面白さやにじみ感、そして応募案のなかに書き添えられていた「丁寧に描きます」というコメントに惹かれました(次は保証できません!)。私はいつも、空間の特性を生かした提案であるかをひとつの審査基準としますが、今回は、ここに描かれている人や生物たちが、プレスルームのオーディエンスにも見えてきて、愛着がわきました。26歳、楽しみです。
辛 美沙氏(MISA SHIN GALLERY代表)
万人が好きなアートなど存在しないが、このような審査ではできるだけ多くの人に愛される作品を選ぼうと思う。現代アートは難解だ、説明がないと分からない。そんな理屈を吹き飛ばし、みんながビッグスマイルになれる作品に決まった。アートが未来を示唆するならば、みんなが笑える社会であるようにと思う。
増田 宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)
アートを通して、人の深層心理を垣間見ながら、コミュニケーションすることができ、非常に楽しかった。(受賞作品について)理屈なし。自分をインスパイアする「何か」があった。そして何より、元気になり、人の気持ちを感じる作品になると思った。
松本 大(マネックス証券代表取締役会長CEO)
MONEXは未来の金融。そして未来とは常に変わっていくもの。コンテンポラリー・アートとは、時代と共に歩いていくもの。ART IN THE OFFICEは常に変わっていく。審査する目と心と空気と共に。今年もそんなダイナミックな環境の中で、現在進行形・思春期の作品になったと思います。