【来場者質問】

昨年の10月4日のマネックス証券とNTTドコモとの提携公表の直前から当社株価が上がり始めていた。社内のインサイダー情報を漏らしている人がいるのではないか。執行部のグリップができていない、統制上の問題があるのではないか?

(松本取締役)

当社は今まで25年間、日興ビーンズの買収、トレードステーションの買収、コインチェックの買収など大きなM&Aもしてきたが、今までそういった大きな取引において場中に株価が動いたことは一度もなかった。今までなかったから当社には問題がないとは言い切れないが、当社の中でそのような情報がどこかに漏洩した確率は極めて低いと考えている。今回の10月4日のように、発表直前に株価が動くことは非常に不名誉なことであるが、執行部の管理監督は行っており、マネックスグループ並びにグループ会社各社から漏れたとは思っていない。そうなると私たち以外から漏れたということになるが、この件で証券取引等監視委員会や東証の調査は結果として行われることはなかった。当社自身から証券取引等監視委員会に対して、当社の株価が変な動きをしたから調べてくれと要請すべきだったかもしれない。冒頭で申し上げた通り執行部の管理監督は行っているが、当社からは漏れていないはずだと決めつけることはよくないので、引き続き管理監督は行っていきたい。

 

(清明取締役)

各執行役が管掌範囲を分ける形で執行部体制を組んでいる。コンプライアンス、リーガル、リスク管理などをみる執行役も配置している。執行部全体で会社の日々の業務をグループ会社含めてモニタリングし、執行部でのミーティングも週1回を目安に、時には日々話している。日々の業務については、各担当が情報を収集して、連携して、会社の状況を把握することをしている。NTTドコモとのような取引においても、法令を遵守し、限られた必要最低限のメンバーだけが情報へのアクセスが可能であり情報管理は徹底している。事前に行政・監督官庁に説明をするということも行っていない。コインチェック買収のときも、NTTドコモとの資本業務提携も、昨日発表した香港BOOM証券の売却についても、限られたメンバーで取引を進めており、情報を持っているメンバーは限定されていた。また、何かが起きたときには、すぐに情報があがってくる仕組みを作っている。そうした体制は出来ていると思うが、改めてガバナンスの強化を図っていきたい。

 

(松本取締役)

NTTドコモの件を金融庁に初めて連絡したのは、10月4日の発表日の午後になってからである。公表前に行政に伝えなければならないとしても、当日よりももっと前に伝えるのが一般的には常識だが、上場企業であるという観点から事前の情報漏れにより株価に変な影響を及ぼすことがあってはならないため、当社は公表日当日の午後になってから連絡している。先ほど申し上げたとおり、10月4日の株価の動きについて、調査を証券取引等監視委員会に依頼すべきだった点は反省している。

一昨年の株主総会では、ESGに特化したアクティビストファンドの取扱いをお願いした。Z世代を意識して前向きに検討するとの話だったので、再度お願いするもの。ESGアクティビストファンドの取り扱いをマネックス証券で検討してほしい。マネックスグループとしてESGの領域で価値を作ってほしい。

(清明取締役)

マネックス証券だけでなく、マネックスグループはESGの取組みとしての点でも進んでいると自負している。多様性への取組みもそうだし、サステナブルな観点での様々な取組みにおいても力を入れている。GPIFが採用するESGインデックスにもマネックスグループは選定されている。また、マネックス証券では天候債という債券を販売しており、その手数料の一部を植林するなど、環境問題解決に貢献している。ESGアクティビストファンドについては、まだ商品化出来ていないが、今後検討を進めていきたい。
なお、マネックスベンチャーズでは、東京都からお金を預かって、社会インパクトファンドを運用している。個人投資家への販売は簡単ではないかもしれないが、インパクトファンドなどを個人投資家の皆様にも提供するなど、今後も検討していきたい。

 

(松本取締役)

当社の中だけでのファンドの組成は難しいし、単に他社の運用するファンドを持ってきて販売するのもそのファンドが実際にESGに貢献するものかの確認は難しい。一方他社と連携して、グループ会社のマネックスアセットマネジメントでESGアクティビストファンドを作ることは可能と思う。需要にもよるが、重要なテーマなので、しっかりと考えたい。

先日のNTTドコモの報道の中で、銀行業への参入が発表されていた。今後、マネックスグループやドコモマネックスホールディングスにおけるNTTドコモの銀行業への関与はあるのか?

(清明取締役)

 NTTドコモの動きについて、当社は答えることは難しい。マネックス証券は銀行と提携をしている。例えばイオン銀行、静岡銀行や他の地方銀行とも提携しながら、提携銀行のお客様にマネックス証券のサービスを利用していただいている。3年程前からアライアンス戦略を掲げ、その一環として今回のNTTドコモとの資本提携に至った。銀行サービスはマネックス証券のお客様にとってもあったら良いものであるため、多くの銀行と連携を進めてきた。今後NTTドコモの動き次第で可能性があれば検討する。ただ、現時点で何も話は来ていないので申し上げられることはない。仮に今後機会があれば、マネックス証券のお客様にとっても良いサービスであるかということも考えつつ検討していきたい。

 

(松本取締役)

基本はNTTドコモの話であり、マネックスが何か主体的に話せる話ではない。しかし、イオン銀行と連携しているように、もしNTTドコモが銀行を持つようであれば、その銀行とも関係を作ることになるだろう。ドコモマネックスホールディングスで銀行を買うという話については現時点では何もない。

今回の招集通知46ページに役員報酬のページをみると、取締役への非金銭的報酬(株の報酬)で186百万円と2023年7月10日の「譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ」のプレスリリースの処分価額が667百万円との違いは何か? 会社の持っている株は会社のコストで取得したものであり、本来消却すべきであるのに、この株の大部分を清明さんに傾斜配分したという理由は?結果が出てから渡すのではなく、株主に優先して経営陣に配分するのかという思いが、株主としてはあることを申し上げたい。

(松本取締役)

プレスリリースにおける667百万円の記載は、当社の取締役以外にも執行役、執行役員、専門役員、子会社の取締役等を対象に含んでおり、かつ基本的に3年にわたって譲渡制限がかかった株式の付与とした数値の総計である。一方、招集通知(46ページ)における186百万円の記載は、当事業年度にかかる取締役兼執行役を対象としたものであり、かつ1年分のものである。取締役、執行役、その他の役員等の報酬の一部を現金でなく自己株式で支払っており、その基本的な設計は、3年間の譲渡制限、その期間中に在籍しなくなったりいくつかの理由で当社を辞めた場合には消滅する等の条件がついている。会社が報酬として各人に渡すものなので、会社にとってはコストとして費用計上される。現金ではなく株を使った報酬というものである。3年間は売却できない株式であり、期間に応じた按分で費用として計上されることから、各取締役に割り当てられた譲渡制限付き株式分についての、概ね約3分の1となる金額である186百万円を招集通知に記載している。

 

(松本取締役)

経産省においては、経営陣に対しては報酬の一部を株式で渡すことによって、株価が上がれば報酬額が増えるため、株主様の動機と一になる取組を推奨している。各人の配分については、執行部が提案した上で、報酬委員会で決定しており、その配分内容は開示しておらず、また清明がどのように株を取得したかについては、ここではコメントしない。

 

追加質問:また、招集通知とプレスリリースで報酬委員会の開催日が違うのだが、報酬委員会で決定してから2か月程度で大型M&Aというのは考えづらく、ドコモの件を知ったうえで決定しているのだとしたら、この報酬委員会の決定はインサイダー取引ではないか?

 

(松本取締役)

報酬委員会の開催は7月7日であり、それを受けて、自己株式処分の決定を7月10日に取締役会で行ったため、招集通知P41の「2023年7月10日開催の報酬委員会において決定」の記載は、正しくは「2023年7月10日開催の取締役会において決定」であり、招集通知の記載が間違っていた点はお詫びする。
また、7月7日の時点では、NTTドコモとの取引については検討を始めていない状況であった。なので、インサイダー情報にはなっていたわけではない。トレードステーションもコインチェックも日興ビーンズ証券の買収も検討開始からすべて2か月程度で公表まで行っている。

以前の東京駅近くの会場の方が総会に出席するのにアクセスがよかった。以前の会場に戻してほしいが、今の会場を使っている理由は?

(松本取締役)

以前の会場はコストが高く、今の会場はリーズナブルであるのが一番大きな理由。加えて動線が円滑である点を理由に利用しているが、創業以来多くの株主様にご参加いただくことを旨としているため、アクセスの良さ、コスト等を考慮し今後も考えていきたい。

NTTドコモの提携についてのリリース(注:当社2023年10月6日付の「当日の各説明会における主な質疑応答」のこと)の中の記載で、本来は「2023年10月4日」であるにもかかわらず、「2024年10月4日」と記載されている箇所があるが、会社が気付いていない点について大丈夫か。また、譲渡制限付株式を社外取締役4名に対して、2年続けて配分しているが、その必要性、報酬委員会での議論について教えて欲しい。

(松本取締役)

社外取締役の報酬は、日本では現金が一般的。アメリカにおいては、報酬額全体の4分の1程度が現金、残りは株式が一般的。当社においては、報酬の一部は株式であるべきと考えており、報酬委員会でも議論を行い、社外取締役の報酬額の約7割を現金、約3割を1年間の譲渡制限株式としている。そのため、毎年株式報酬を与える必要があるかという議論ではなく、まずは社外取締役への報酬額を決めた上で、日本居住者の社外取締役であれば、その報酬額の約3割を株で払っているということである。ただ、海外の居住者については日本の制度上、居住者と同等の条件で譲渡制限付き株式の報酬を払うことはできないため、全額現金での支払いとなっている。私は、社外取締役の方にも株主の利益を考えて仕事をしていただく必要があると考えている。株価において敏感になるため、社外取締役の方も株式報酬を組み入れる方が良いと考え、報酬委員会でもそのような議論をしている。現金報酬で良いのではないかというご意見については、あらためて認識したうえで今後も議論をしていく。

 

なお、一部の説明資料の中での年月日の間違いについては、恥ずかしいミスであり反省する。ご指摘のように内部統制とかが甘いというのは、その通りなので、きちんと取り組んでいく。

ライブドアショックと同時にあったマネックスショックについて、当時松本社長は「当社は株式市場の担い手である証券会社として、上場企業として、株主価値を守る責務があり、特定の銘柄の担保掛目を下げることは経営判断の選択肢の一つである」と発表したが、株主を守ると言っても、当時の金融担当相がコメントしたように、顧客を軽視する企業は顧客が離れていく。信用取引は顧客と証券会社がリスクを折半すべきものだ。マネックスショックのきっかけとなった判断は正しかったと今でも考えているのか。

(松本取締役)

証券会社における信用取引は、お客様に株式を売買するためのお金をお貸しする業務である。その際に担保を株式でいただくが、その掛け目については、証券会社で自由に設定することができる。信用取引で証券会社が損失を被れば株主に負担がかかる。経営者として株主を守る責務がある。実際にライブドアは粉飾決算していたことが判明し破綻したわけで、ライブドア株などに対して、2006年に場中に掛け目をゼロにしたということをしたというのが本事案。この件を受けて、制度が整備されて、掛け目を変更する際は、発表と同時に実行するのではなく、発表と実行の間に一定時間を設けるというルールができた。
これから述べることは、1つの観察かもしれないが、当時は、日本中のあらゆる証券会社とエコノミストやストラテジストがライブドア等の株式について「買い」を推奨しており、ライブドア等の株価はバブルのような状況であった。その一群の株については、粉飾決算である以上株価が早晩崩壊したものであると強く信じている。当社の措置と株価崩壊についての因果関係は定かではないが、ちょうど同じ時期であったため、それまで買いを推奨していた証券会社、エコノミストやストラテジストがその崩壊の原因と責任を押し付けようとしたものであると考えている。
当社が掛目を下げたのには、2つ理由がある。
1つは、当社は株主の財産であるお金を預かって顧客に貸しているため、それが回収できなくなった場合、当然当社は株主に対して責任がある。そういう意味において、粉飾決算で破綻が見え担保価値がなくなったとされる株式については、株主価値を守るために、その担保価値を引き下げるのが正しい判断であったと考えている。もう1つは、100から10まで株価が下がる過程にある中で、アメリカであれば値幅制限がなく破綻企業の株価は一気に10まで下がるが、日本では、ストップ安という仕組みによって形式的に数値上の株価だけが段階的に下がっていく。そういったなかで10まで下がることが見えているのに形式的についているだけの下がる途中の株価を基にした担保価値により借りたお金でその株をさらに買って結果的に大損をした例はいくつもあった。株主価値を守るだけでなく、我々はそのようなことを投資家に起こさせないために、担保掛目をゼロとして投資家に信用買いを控えるようにして、当社の顧客の傷口が大きくなりすぎないようにするために、その最終的な価値がゼロであるなら、そこまで担保価値を引き下げるべきであるという考えも当時はあった。当時は異常な状況のなかで、その当時なりに考えて行ったものである。
また、個人投資家のために会社を立ち上げた当社に対して、その時の大臣職の方に「投資家のことを考えていない」とコメントされるのは不本意だったので反論を行い、メディアにも取り上げられた。

先ほど(役員報酬を譲渡制限付株式報酬として付与)の続きで、招集通知を見れば清明取締役の持株数がいくら増えているかが分かる。200万株増えているから株式報酬のほとんどを清明取締役へ傾斜配分したに違いない。これはおかしいのではないか。

(松本取締役)

報酬については報酬委員会での議論で配分されている。株式報酬について、取締役その他を含め、処分した自己保有株式の総数についてのみ公表しており、各人にいくらの株式を配分したかは一切公表していない。各取締役が現在保有している株式が、株式報酬によるものと自己資金で取得したものと両方が含まれ得る中、推測に基づく質問については回答できない。

オンライン証券会社にとって肝である証券システムについて、マネックス証券は現在内製化していると思うが、そのリスクやコストを教えてほしい。また、今回、NTTドコモとの提携したことによって、NTT系列のシステム会社への切り替えも検討しているか。

(松本取締役)

システムはご指摘のとおりオンライン証券会社の肝であり、他社にシステムに握られているのは責任が取れないし危険であると判断して内製化を推進した。それから何年もかけて内製化プロジェクトを行った。現状では開発も運用もいろいろな会社の協力は得ているが、基本的にはマネックス証券内で管理している。外部の開発運用の方がコストが安いかどうかは一概にはいえない。今後、その内製化しているシステムをどういう会社と運用していくかは未来の話なので、現時点では分からないし回答できない。

システムについては、まずはしっかりと動くシステムであることが重要であり、資本の論理によって判断されるものではないというのが原則であろうと考えている。いろんな可能性はあるが、現状問題なく動いているシステムの担当を切り替えるというのは可能性が低いと思う。

 

追加質問:システム開発、運用の人員数は。

 

(松本取締役)

マネックス証券の単位でみると、内部、外部の協力会社それぞれ100人程度。

NTTドコモとの提携やコインチェック上場について、松本さんのマニュアル車好きに例えて、現在上り坂か。下り坂か。ギアとスピードは。

(松本取締役)

間違いなく上り坂。5速車でいうと、3速くらい。2速ほどではないと思うが、4~5速ほどスムーズに走っているわけでもない。dカード積み立てが始まるなどがあるが、まだまだ提携の効果を可視化するのはこれから。コインチェックの上場についても、SECのせいでずいぶんとかかっているが、上り坂を2速-3速くらいで上っているとご理解いただきたい。

社外取締役の任期について。今期で18年在任している方は社外取締役と呼べるのか。年1回の株主総会くらいはオンラインでの参加ではなく、現場で出席してほしい。指名委員会等での仕事などについても、どう考えているか教えてほしい。

(松本取締役)

槇原取締役のことを念頭に置かれているかと思う。槇原取締役ご自身からひとことお願いしたい。

 

(槇原取締役)

出席については、ご尤もなご指摘である。ほぼ全ての取締役会には来日して直接出席している。オンライン出席としているのはこの株主総会のみである。オンラインでの出席の仕組み自体が発達しているものの、喧々諤々の議論をする取締役会は現場で行うべきであり、一方株主総会の場合は取締役会と比べると発言が少ないので、会社の渡航費負担を考えてオンラインでの参加を取り入れるとしたら株主総会かなと考えた。しかし、実際にオンラインで株主総会に出席してみると、壇上にいないのは少し寂しい気持ちはある。
また、任期の捉え方については国や機関によって様々である。自分の任期については、松本取締役や指名委員会の皆様と毎年相談している。振り返ると、随分と長くなったなと感じるのも事実である。将来性があり、自由闊達な議論が行わる会社に取締役として参加できるのは非常に楽しいが、しがみつきたいという意図はない。最終的には、株主の方の意見がでてくる投票率、こういった議場でのコメント、経営陣の考え方を総合的に判断し考えたい。
 

(松本取締役)

参考として、国内機関投資家は槇原取締役の再任への反対が非常に多い。一方、海外の機関投資家は槇原取締役への反対率は7番目であり、私より反対率が低い。日米の考え方の違いはあるが、アメリカにおいては、良い社外取締役であれば、年齢やオーバーボーディングについての上限はあるが、在任期間については制約がないというのが主流である。

先ほど(信用取引における特定銘柄の担保掛目を場中にゼロにした)の続きであるが、答弁は、自分たちのことだけ考えているのかなと感じた。マネックスの株主は守られたが、個人投資家は傷ついた。マネックスの顧客は守られたかもしれないが、東証参加者全体では株価暴落のとばっちりを受けた。持ち株を売って、資金確保に走り回った人たちもいる。そうした市場全体の痛みへの配慮が答弁からは感じられなかった。

(松本取締役)

マーケット全体のことを考えるのは当たり前であり、当時としてはきちんと考えてやったことではあるが、自社の株主、市場全体、そうしたバランスを考える必要は勿論ある。最善を尽くしたつもりではあるが、いろいろな経験を積んできているので、正しい判断をできるように務めていきたい。

社外取締役は当社においてどういった価値提供を生んでいるか。社外取締役は、知識や情報すべてについて、執行部の役員との比較において劣る、格差があるという記事があった。個人投資家は、年1回の株主総会で社外取締役の方をお会いするだけなので、社外取締役の当社に対する価値を生んでいるのかが見えづらい。松本取締役自身もマスターカードの社外取締役をしていると思うので、それも踏まえて、社外取締役が当社にどのような価値を提供しているのか教えてほしい。

(久能取締役)

昨年の株主総会で株主の皆様に信認をいただいたが、個人的な理由で再任を辞退させていただいた。価値として何を提供したかでいえば、もちろん社会的貢献というのもあるが、基本的には株主のために会社の価値を最大化するというのが基本である。価値を最大化するための方法として、もちろん利益や売上をあげる、プロジェクトをつくるというものがある。もう一つは、コンプライアンス、会社が正しい結果を出しているかというものもある。この二つのバランスをとることが重要で、自分はどちらにも偏らないようにやってきた。アメリカに30年いる経験、公開会社を保有していた経験、女性活躍についての経験、グローバルな考えに対してアメリカの人たちがどう反応するかのフィードバックなど、自分のできる範囲で知見やアドバイスを提供してきた。

 

(松本取締役)

社外取締役のいる取締役会というのは、プチ株主総会のようなものである。執行部は、常に自分たちは正しいことをしていると思い込みがちである。そこに対して、外から違う視点で指摘をしてもらうことが非常に重要であり、それを期待している。私自身はマスターカードの社外取締役を8年しているが、自分自身は社外取締役よりは自分で経営をしている方があっているなと思う。人を止めるというよりは、人に止められながら走るほうが自分にあっている。社外取締役というのは難しいが、点数が良い人ばかりではなく、バランスが保たれていて、いろんな視点があることが良い取締役会の条件だと思う。

マネックス証券における部門間をまたがる問題についての課題解決の仕組みについて。顧客接点の窓口ごとに縦割りを感じる。信用取引でロールオーバーの仕組みがないから、買い玉を持ち越すための売りと買いを引けなりでセットして発注することが何度かあった。それが引け値ならずの結果、クロス取引になったために(不公正取引の未然防止の観点から)取引を停止させられたことがある。ロールオーバーの仕組みがないから、そうなってしまったという話を私から何度もしたが、取引のルールを守ってもらうためという話を繰り返しされた。部門間の横のつながりをもつことで、そのようなことにならないよう、組織全体で対応してほしい。

(松本取締役)

縦割りはサービスレベルの低下につながり、お客様にとっても、そして結果として株主にとっても良くないものである。しっかりと対応したい。

コインチェックの暗号資産の不正流出について。それによって潰れる会社もある。対策はしているのか。

(松本取締役)

コインチェックは暗号資産流出後に当社グループ入りをした。最近もそういった事故が外では起きているが、同じようなことが起きないようにコンサルタントを入れて対策したり、社内に悪意のある人物がいても、理論的にできないようにあらゆる手を講じている。しかし、不断の努力が必要であり、さらにそうした努力を続けていきたい。

【事前質問】

御社とお取引の顧問弁護士は、離婚案件を取り扱うか?もし取扱いの場合、強引な養子縁組や実子連れ去りにより、親子断絶を促していないか?例えば、食品のミツカンでは、創業家による強引な養子縁組と、それに伴う親子断絶のトラブルが、週刊誌等で報じられ、SNS上でも盛んに話題となった。

(松本取締役)

複数の法律事務所と取引関係にあるが、それぞれの事務所がどのような案件を取り扱っているか把握できない。取引先選定にあたっては、選定方針がある。
また、当社には人権方針があり、取引先も適用となり、人権侵害が疑われる事象が特定される場合は改善を働きかけている。

投信メインで利用している株主にもメリットのある株主優待にしてほしい。

(清明取締役)

ご要望として承った。積み立てから資産形成を開始される方も多くいらっしゃるという状況も踏まえて、新しい優待の仕組みも検討していく。

コングロマリット・ディスカウントのポイントとそれを払拭するための具体的な活動について。

(清明取締役)

グループ各社の成長戦略を推進し成長していくことを実施すること、既存事業にくわえ新規事業を足し合わせていくことで当社の価値に繋がることをIR活動でしっかりと伝えていくことが重要と考えている。更に、各事業間でのシナジーの存在、事業の分散していることによる収益のボラティリティを抑える効果などを実施している点などを踏まえて説明していきたい。

TradeStationの成長戦略:アクティブトレーダーとDARTsを倍増するための具体策について。

(大八木取締役)

ビジネスを伸ばすためには、良い商品・サービスを作って、お客様に知っていただき、お客様に長く使っていただくことが大事。トレードステーションが持っている非常に優れた分析ツールをたくさんの方々に知っていただくための営業活動を実施する。さらに、取引をしていただくお客様にはホテルのコンシェルジュサービスのような体験を提供していくことで、満足度を高めて、長く取引していただく。お客様の数を増やすとともに、取引の頻度やサイズを増やしていくことに注力する。

富裕層向けビジネスで他社との差別化ポイントと5年後の陣容について。

(清明取締役)

富裕層ビジネスでは、2年前にマネックスPB会社を設立した。マネックス証券の仲介会社としてサービスを提供しているので、商品提供や口座管理はマネックス証券で行っている。
マネックスPBのコンサルタントのメンバーは経験豊富で、お客様と長く付き合うこと、マネックスというブランドのもと質の高いサービスを提供することを心がけている。オンライン証券で富裕層向けビジネスを専門的な会社として立ち上げるという試みはマネックスグループが最初に行った。
マネックス証券が基幹システムを内製化しているため、外国籍の投資信託、米ドル決済できる商品など、富裕層のニーズにあった商品やサービスを柔軟に取り扱うことができる。こうした豊富な経験があるメンバーと商品を随時提供できる体制を強みに、5年後もさらに大きく預かり資産を増やしていきたい。

マネックス証券のサイトやアプリのUIについて修正や改善する部署はありますか? アプリを使っていて、銘柄スカウターなど使い勝手が良いものもありますが、各銘柄の新着ニュースがスマホからだと改行が変でみにくいです。UIで証券会社を決める人もいるはず。

(清明取締役)

ウェブサイトやアプリの修正・改善は複数の部署にまたがって対応しており、これを横櫛をさすような形でデザインを見る体制としていた。しかしながら昨今、UI/UXでサービスを選択するお客様が増えていること、当社はNTTドコモと資本業務提携をしていることから投資初心者の方がマネックス証券を利用されるケースが増えていることから、UI/UXはマネックス証券の最重要課題として認識している。
このような課題認識のもと、横串でUI/UXを見る部署を部として立ち上げ、早急に投資初心の方々にとって、わかりやすく簡単に利用しやすいUI/UXを目指して組織として対応していく。
株式のニュースに関する貴重なご意見を頂戴し、御礼を申し上げる。誠にありがとうございます。具体的なご意見は改善活動の一助になるので、今後も入力フォームなどから頂きたい。

3月末の配当金15円を貰っても、株価が下がっている。長期で保有しても利益どころか、損失ばかり。株価をお約束通り、早く1000円にしてほしい。

(松本取締役)

株価について、直接的にできることは、業績をしっかり作ること。ROEは会社がつくるもの、PERはマーケットがつけるもの、それをかけあわせるとPBRになり、株価になる。
PERを高めるためにIRで事業の内容を説明したり、シナジーのメリットを発揮して価値を顕在化する。あるいは各子会社の価値がわかりやすくなるよう、マネックス証券の株式の半分をNTTドコモに売却したように、或いはコインチェックの上場などを通じて、価値の顕在化をしていく必要がある。配当や自社株買いなどの株主還元を行うことでPERを高めることも重要。当社の株価はマーケットに対して3月以降比較的弱いが、NTTドコモとの提携の果実への期待に応えきれていない、BTCの価格上昇に伴うコインチェックの暗号資産の取引量増加に伴う業績向上への期待に応えられなかったなど、大きな期待に対しては満足できる結果がついてこなかったことが株価として現れている。
こういったことを含めて、事業を強くする、シナジーを強くする、株主の皆様への説明を強くする、株主還元を考える、さまざまな期待に応えられるようにNTTドコモとの連携を更に進めるなど、すべてに取り組んで、しっかりと株価を上げていきたい。最終的に、株主の皆様は長期的に当社を応援してくださっている方に加えて短期的に株価が上がることを求めている方がいるのも当たり前。
短期でも長期でもトータルのリターンが高くなるように取り組んでいきたい。

手数料無料化 株式取引手数料が無料の証券会社がありますが(楽天やSBI)、マネックス証券では手数料無料化についてはどう考えるか?

(清明取締役)

マネックス証券では、NISAは手数料無料。総合口座については日本株手数料をいただいている。証券会社が提供すべき価値は、長期的に資産を増やす手伝いをすること。システムを内製化しているので、様々な商品を手がけることができる。銘柄スカウターのような銘柄選定ツールも提供している。また、豊富なアナリストがほぼ毎営業日セミナーを実施するなど、投資情報の提供にも力を入れている。こうしたツールやサービスを拡充することで、お客様の資産が増えるようなことを手がけていきたい。その対価として、少し株式手数料をいただいているが、総合的にマネックス証券に資産をあずけていただくと資産が増えたという形になるようにサービスを手掛けていきたい。

御社の株価はビットコインが上昇した時に連れ高する時以外、上がらない。NTTとの提携による上昇ももう息切れ。今後株価を上げられると思うか?またその方法をご提示してほしい。

(松本取締役)

先ほどの回答の通り。加えて、長期的に株価を上げられると考えている。

他社は手数料無料です。今後御社の顧客はジリ貧することも考えられますが、どのように思われますか?

(清明取締役)

先ほどの回答の通り。

BitCoin等の暗号資産価格変動の影響により、マネックスグループの株価変動幅が大きくなっている様に感じるが、安定した向上に向けたお考えがあれば伺わせていただきたい。

(松本取締役)

BTCとマネックス株の相関は下がってきている。コインチェックの中でも、IEOなどの相場影響の小さいビジネスを増やしている。マネックスグループ全体の中でも、さまざまなビジネスを持っており、それらをしっかりと見ていくことで、それほど相関がないということが分かるはず。そうした収益の分散化をさらに進めていきたい。

定款の表記 (定款一部変更の件)下線部の「または」を「又は」と変更するよりも、条文で「又は」と表記している部分を「または」と改める方が読みやすいのではないか。

(松本取締役)

「又は」に表記を統一させていただいた。

個人株主の拠り所は株価のみである。ビットコインの上昇や日経の上昇には一切反応しなくなり3月から株価は下がり続けており、ドコモとの提携によるシナジー効果にはまったく期待されておらず評価されていない。延々下がる株価に非常に憤りを感じている。具体的な株価対策を早急に検討してほしい。

(松本取締役)

先ほど回答した通りだが、しっかりとビジネスの結果を出していくこと、NTTドコモへのマネックス証券の半分売却金を使って成長投資を促進すること、配当を従来の2倍にすること(下限で15円→30円にして配当利回りが現在4%を超えている)をしたが、さらなる株価対策が必要かもしれないということは意識したい。資本コストを意識した経営というのを東証が求めているが、資本コストは株主にとってのトータルリターンがすなわち資本コストである。株主にとってのリターン(株価の上昇と配当)を意識した経営をしてほしいと東証も要請しており、しっかりとビジネスを作っていくことが我々のできる第一のことだが、加えて株主様にとっての経済的リターンもあげていきたい。

創作系のネットコミュニティなどへの代替決済手段の提供などは考えてるか? 例えば、ニコニコ動画はドコモ出身者もいるため親和性がありそうに思う。ユーザー発の創作に対するブロックチェーン技術活用も模索してみてほしい。拡大していく口座内の株主のためにも、自社の株価対策をお願いしたい。

(山田取締役)

ご指摘の通り、ブロックチェーン技術との親和性が高いものと認識している。コインチェックでも事業展開の可能性を検討している。また、当社においても、クリエイターの方が簡単にweb3技術を使えるようにエンパワーしたり、そうした企業との提携も積極的に模索していく。