取締役候補者の決定に先立ち、各取締役の自己評価もふまえながら取締役会全体としての実効性に関する分析および評価を行いました。
2023年12月上旬~2024年1月上旬にかけて全取締役会評価にかかるアンケートを実施し、その集計結果をもとに2024年1月25日開催の取締役会および同日開催の指名委員会において、取締役会全体の実効性に関する分析および評価を行いました。
分析および評価の結果
取締役会の実効性、各委員会の構成・実効性に関する問題は認識されませんでした。取締役会の規模や社内外のバランス(11名。うち独立社外取締役7名)にかかる問題については、過去の取締役会や指名委員会での議論もふまえ、取締役会の規模としては、現時点では定款上の定員11名が望ましく、社内・社外の比率については、将来的に社外取締役比率を上げるべきであるという意見がありました。
また、各取締役の知識、経験、世代などの多様性については、現任取締役のスキルマトリックスに鑑み、さらにテクノロジーや金融に関する知見、イノベーターとしての卓見、人的資本や多様性などサステナビリティに関する専門性、そしてグローバル経験などが必要との認識が共有されました。さらに、コーポレート・ガバナンス上重要な問題である、取締役会の構成および取締役のサクセッションプランの観点においては、社会情勢や事業環境が変化し、経営判断の難易度が高まる中、変化に応じた新陳代謝や新たな視点も必要であり、その時々での最適の人材に入れ替えていくことが望ましいという意見がありました。
当社は指名委員会等設置会社であり、取締役および執行役の報酬等については、社外取締役を委員長とする報酬委員会が報酬等の内容に係る決定に関する方針および個人別の具体的な報酬等を決定しています。
この方針においては、執行役を兼務する取締役、および執行役の報酬等は、基本報酬、短期インセンティブ報酬、および非金銭報酬である中長期インセンティブ報酬によって構成しています。
基本報酬は、一律の固定報酬に、役職に応じた一定の金額等を加算した金額としています。短期インセンティブ報酬は、単年度の業績向上に対するインセンティブとして、会社業績に応じて決定された役員賞与総額を各役員の職責および業績に対する貢献度等に従って配分した金額としています。中長期インセンティブ報酬は、中長期の企業価値向上に対するインセンティブとして、各役員に譲渡制限付普通株式を割当てます。なお、 日本国外に居住する役員の中長期インセンティブ報酬については各国の法制度に照らし、譲渡制限付株式の割当てに代え、相応の金額を支給しています。
中長期インセンティブ報酬については、コーポレートガバナンス・コードにおける、経営陣の報酬について中長期的な会社の業績等を反映させたインセンティブへの要請に応えること、そして、本制度のような一定期間譲渡が制限される株式報酬を報酬制度に組み込むことにより、対象役員が株価の変動について株主と意識を共有することにより、役員の企業価値向上への継続的かつ中長期でのコミットメントを強化することができると考えています。
2023年4月24日、以下のとおり役員報酬制度について報酬返還(いわゆる、クローバック)に関する方針を導入し、当連結会計年度及びそれ以降の年度を評価の対象期間とする、当社の執行役の譲渡制限付株式報酬及び短期インセンティブ報酬に適用しております。
・当社の執行役に対して交付した譲渡制限付株式の譲渡制限の解除後3年以内に、当社グループにおいて重大な会計上の誤り又は不正等が判明した場合には、当社は、審議の上、当該行為を行った又はこれらに関与した当社の執行役に対し、譲渡制限付株式の全部又は一部について、無償での返還を求めることができることとしています。
・さらに、当社の執行役に対して短期インセンティブ報酬を支払った後3年以内に、当社グループにおいて重大な会計上の誤り又は不正等が判明した場合には、当社は、審議の上、当社の執行役に対し、支払済みの短期インセンティブ報酬の全部又は一部について、返還を求めることができることとしています。
なお、執行役を兼務しない取締役の報酬等は、従来、業務執行から独立した立場での監督機能が重視されることから、職責に応じた固定報酬からなる基本報酬のみとしていましたが、少数株主の利益代弁者として当社の株価に連動する報酬を付与することが妥当と判断し、2021年6月26日の報酬委員会の決定により基本報酬の一部を非金銭報酬(譲渡制限付株式)制度に移行しました。
執行役兼務取締役・執行役の報酬体系(平均)
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高い倫理観、職責に対する十分な理解などの指名方針に基づき、経験・専門性の一つ、または複数を有することを取締役の資質として定めています。
各取締役の選任時における理由は以下のとおりです。
氏名 | 役職 | 選任理由 |
松本 大 |
取締役会議長 指名委員会委員 |
1999年にマネックス証券株式会社(当時)を創業して以来、日本における新しい金融ビジネス分野である個人向けオンライン証券ビジネスの創出・確立に注力し、当社グループ事業の発展を牽引してまいりました。松本大氏の金融事業に対する深い造詣は、取締役会における有意義で実質的な議論を支える役割を果たしており、また、その高い指導力とすぐれた経営能力を活かし、当社代表執行役会長として当社グループ事業の新たな成長の推進を担っております。 |
清明 祐子 |
取締役 報酬委員会委員 |
当社代表執行役社長CEOおよびマネックス証券株式会社取締役社長執行役員として、社内における強いリーダーシップにより日本・米国のオンライン証券事業を統括するとともに、2023年6月の当社の社長CEOへの就任以降、株式会社NTTドコモとの資本業務提携をまとめるなどの経営手腕を発揮しています。また、清明祐子氏は、当社取締役会において、資本市場や財務・会計の高度な知識や経営者としての知見に基づく積極的な提言を行っております。 |
大八木 崇史 |
取締役 |
1999年4月の株式会社マネックスの創業メンバーの1人であり、日米の金融業界における長年の経験をもとに、取締役としての責務を果たすと同時に当社執行役CFOとして戦略の立案および米国ビジネスの運営を担っています。金融業界の変化や新たな事業機会も見据えながら、取締役会において積極的な提言を行っています。 |
山田 尚史 | 取締役 |
機械学習・深層学習を主軸としたIT関連のBtoB企業を共同創業した経営者で、5期目に東証マザーズ上場を果たした起業家としての成功体験を有しています。ITベンチャー企業の取締役、技術担当役員として経営に携わるとともに、知的財産の専門家(弁理士)として長い実務経験を持っています。起業家としての経験や30代という世代からの観点、テクノロジーに関する深い見識に基づき、当社取締役会において適切な提言を行っています。 |
各社外取締役の選任時における理由は以下のとおりです。
氏名 | 役職 | 選任理由 | 2024年3月期 出席状況 |
槇原 純 ※1 |
独立役員 取締役 報酬委員会委員長 指名委員会委員 筆頭独立社外取締役 |
日米において長年投資銀行ビジネスやインターネット関連企業の育成に携わり、高度な金融知識をはじめインターネット事業および金融事業に対する深い理解を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会において国内外の金融業界の状況も踏まえながら多くの提言・助言を行っています。さらに筆頭独立社外取締役として、取締役会のみならず、報酬委員会委員長、指名委員会委員としても強力なリーダーシップを発揮しており、モニタリングボードの要として当社に大きく貢献しています。在任年数は18年と長期にわたるも、当社として長期的な在任期間がすなわちガバナンスの機能を損なわせるとはとらえておらず、当社に関する知見の深さから取締役会を牽制する立場として、議論を活性化し取締役会の実効性向上に貢献していると判断し、社外取締役に選任しています。 |
取締役会
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堂前 宣夫 | 独立役員 取締役 指名委員会委員長 報酬委員会委員 |
国内外においてオンラインとリアルの両側面から一般消費者向けに小売事業を展開し成長させた経験を有し、加えてグローバルな組織・業務システムや内部管理体制の構築に関わる深い経験を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会において事業の成長機会追求とリスク管理の両面から積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 |
取締役会
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小泉 正明 | 独立役員 取締役 監査委員会委員長 |
公認会計士資格を有する財務会計の専門家であり、金融機関を含む企業の会計監査業務の経験や企業の上場に関わる実務に携わった長年の経験を有しています。その豊富な経験・見識から、当社取締役会においてガバナンス機能の向上につながる積極的な提言・助言を行っています。さらに監査委員会委員長という重責も担っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 |
取締役会
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朱 殷卿 | 独立役員 取締役 監査委員会委員 |
証券会社におけるM&A戦略や財務・資本政策に関する高い知見、金融機関における企業経営者としての豊富な経験や人脈を有しています。また、上場企業の社外取締役監査等委員の経験も有しております。グローバル金融市場や投資銀行関連の知見に基づき、当社取締役会において適切な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 |
取締役会
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羽生 祥子 | 独立役員 取締役 指名委員会委員 |
マスメディアにおいて働く女性向けのメディアを4媒体創刊、編集長として活躍され、多様性というキーワードをもとに、企業の経営戦略に直結する重要課題として、女性活躍を含めたダイバーシティ経営浸透の活動を推進してきました。当社の指名委員会は、マスメディア経験を活かしたコーポレート・コミュニケーションやリスク・マネジメント、多様性を基軸とした人的資本などに関する知見や経験を持つ羽生氏の新しい視点が、取締役会での実効性をさらに強化するものと考え、求める資質に合った候補者であると判断し、社外取締役に選任しています。 | 取締役会 -回/-回 |
鈴木 蘭美 | 独立役員 取締役 指名委員会委員 |
海外の大学での基礎研究やベンチャーキャピタル事業に携わったほか、東証上場の製薬企業での新薬事業開発担当執行役、そして新型コロナワクチンを提供した外資系医療関連会社の経営者として、医療を通じて社会的重要課題の解決に努め、現在は医療関係のベンチャービジネスの経営者を務めるなど、医薬分野を基軸とし、グローバルかつイノベイティブな環境で多彩な経験を有しています。当社の指名委員会での議論では、グローバル経験、テクノロジー関連の知見と、経営・イノベーションに関する経験を持つ候補者が求められており、求める資質に合った候補者であると判断し、社外取締役に選任しています。 | 取締役会 -回/-回 |
下川 亮子 | 独立役員 取締役 監査委員会委員 |
外資系証券会社における金融アドバイザリー業務や世界最大級の投資会社でのM&A経験など、グローバル経験や財務・資本政策に関する高い知見を有しております。また、上場企業にて人的資本に関する活動を推進し、経営執行の立場でグループ全体のサステナビリティを管掌するなど、サステナビリティ分野での豊富な経験を有しています。当社の指名委員会での議論では、金融経験、事業会社でのマネジメント経験やグローバル経験のほか、上場企業におけるコーポレートガバナンスを含むサステナビリティ経営の経験に関し、当社が求める資質に合った候補者であると判断し、社外取締役に選任しています。 | 取締役会 -回/-回 |
※ 1 社外取締役・独立役員の互選により、2015年4月より筆頭独立社外取締役に指名されています。
各執行役の選任時における理由は以下のとおりです。
氏名 | 選任理由 |
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清明 祐子 (代表執行役社長) |
当社代表執行役社長CEOおよびマネックス証券株式会社取締役社長執行役員として、強いリーダーシップを発揮し日本・米国のオンライン証券事業を統括するとともに、株式会社NTTドコモとの資本業務提携をまとめるなどの経営手腕を発揮し、社内外から高い評価を得ている。 当社CEOに求められている、決断力、コミュニケーション能力、戦略的思考力等に優れている。激変する事業環境においても持続的かつ長期的に企業価値を向上させるために、代表執行役社長CEOとして当社グループの経営執行の中核を担うことが適切と判断された。 |
松本 大 (代表執行役会長) |
2004年8月の当社設立以来、創業社長として当社グループ事業の成長・拡大を牽引し、新規ビジネスの発案と推進や海外事業展開を担い、当社グループの収益機会の創造やグローバル戦略を推進してきた。持続的かつ長期的に当社の企業価値を向上するために、その任にあたることが適切と判断された。 |
大八木 崇史 (執行役) |
米国セグメントの担当として、米国セグメントを過去最高の営業収益および利益に導き、米国セグメントを当社グループの収益の柱に成長させた。米国セグメントの収益力の維持および強化を進める上で、米国セグメント担当および当社グループのチーフ・フィナンシャル・オフィサー(CFO)としてその任にあたることが適切と判断された。 |
山田 尚史 (執行役) |
機械学習・深層学習を主軸としたIT関連のBtoB企業を共同創業した経営者で、5期目に上場を果たした起業家としての経験を有している。また、ITベンチャー企業の取締役、最高技術責任者としての経営経験と、ITベンチャー企業の知的財産の専門家(弁理士)としての長い実務経験を有する。IT関連の知見と若い世代としての新鮮な感覚により、テクノロジー担当およびAI戦略担当に加え、あらたに投資事業担当の任にあたることが適切と判断された。 |
ジョン・バートルマン (執行役) |
米国セグメントのTradeStationグループのトップとして、強いリーダーシップを発揮し、米国セグメントを過去最高の営業収益および利益に導き、米国セグメントを当社グループの収益の柱に成長させた。外部環境の激しい変化に対応し、TradeStation グループの収益性を高めるために、引き続きその任にあたることが適切と判断された。 |
萬代 克樹 (執行役) |
生命保険会社にて資産運用業務に従事し資産運用業務に高い専門性を有している。資産運用業務の高い専門性、金融商品の豊富な知見を活かし、当社グループにおいては、長年商品開発部門を担当し、様々な新商品、サービスの提供を通じて、当社の収益向上に貢献している。日本セグメント担当として、当社グループの重要戦略であるアセマネモデルへの推進を進めるため、引き続きその任にあたることが適切と判断された。 |
蓮尾 聡 (執行役) |
外資系を含む長年の金融バックグラウンド、当社および当社グループにおける多岐にわたる業務の経験に基づく知見を活かし、コインチェック株式会社の社長として成長を牽引してきた。クリプトアセット事業セグメントでの収益機会の創造やグローバル戦略を推進するうえで、クリプトアセット事業セグメント担当の任にあたることが適切と判断された。 |
兼子 克樹 (執行役) |
証券系のシステムに精通し豊富な業務経験を有している。当社グループにおいては、長年にわたり、システムリスクおよび情報セキュリティリスクへの対応に従事してきた。グループ全体におけるセキュリティ対策およびリスク管理が重要となる中で、その任にあたることが適切と判断された。 |
山中 卓也 (執行役) |
複数のオンライン証券会社において経営企画部門や人事部門を歴任にし、旧ジェット証券(現マネックス証券)では代表取締役社長として経営に携わった経験を持つ。当社および当社グループにおいては、人事部門担当として人事制度の整備や改革を担っている。今後、当社グループが人事戦略におけるダイバーシティの更なる強化を図るにあたり、引き続きその任にあたることが適切と判断された。 |
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高崎 のぞみ (執行役) |
当社および当社グループにおいて、長年リーガル・コンプライアンス部門を担当し、当社の内部統制の強化に貢献している。 クリプトアセット事業をはじめとして新規の事業を展開する中でグループ全体における内部統制や危機管理が一層重要になるなか、内部統制担当、危機管理担当の任にあたることが適切と判断された。 |
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アドバイザリーボード
(※2013年5月開催の第52回をもって終了)
当社は、マネックス証券当時の1999年12月から2013年5月までの約13年半、52回にわたり、大所高所の立場から、バランスのとれた多面的・中立的な意見・提言や、当社グループ全体の事業運営に資する幅広いアドバイスを得ることを目的として、毎四半期に一度、有識者で構成されるアドバイザリーボードを開催してまいりました。
当社が2013年6月に委員会設置会社に移行したことに伴い、アドバイザリーボードはその役割を終えたと判断し、開催を終了することといたしました。
第3回(2000年5月開催)から第52回(2013年5月)までの各回の参加委員および主な議題を掲載しております。