取締役会の実効性評価について

取締役候補者の決定に先立ち、各取締役の自己評価もふまえながら取締役会全体としての実効性に関する分析および評価を行いました。

 

2022年12月上旬~2023年1月上旬にかけて全取締役会評価にかかるアンケートを実施し、その集計結果をもとに2023年1月24日開催の取締役会および同日開催の指名委員会において、取締役会全体の実効性に関する分析および評価を行いました。 

分析および評価の結果

取締役会の実効性、各委員会の構成・実効性に関する問題は認識されませんでした。取締役会の規模(10名)や社内外のバランス(独立社外取締役6名)にかかる問題については、過去の取締役会や指名委員会での議論もふまえ、取締役会の規模としては定款上の定員11名が望ましく、社内・社外の比率については、社外取締役を増やすべきであるという意見がありました。
 また、各取締役の知識、経験、世代などの多様性については、経営者・イノベーターとしての見識やグローバル経験などが必要との認識が共有されました。さらに、コーポレート・ガバナンス上重要な問題である、取締役会の構成および取締役のサクセッションプランの観点においては、事業環境が変化し、経営判断の難易度が高まる中、当社事業を知悉している現任取締役を大幅に入れ替えるのは現時点では時期尚早であるものの、毎年1名から2名程度、入れ替わることが望ましいという意見がありました。

役員の報酬制度について

当社は指名委員会等設置会社であり、取締役および執行役の報酬等については、社外取締役を委員長とする報酬委員会が報酬等の内容に係る決定に関する方針および個人別の具体的な報酬等を決定しています。
 
この方針においては、執行役を兼務する取締役、および執行役の報酬等は、基本報酬、短期インセンティブ報酬、および非金銭報酬である中長期インセンティブ報酬によって構成しています。

なお、執行役を兼務しない取締役の報酬等は、従来、業務執行から独立した立場での監督機能が重視されることから、職責に応じた固定報酬からなる基本報酬のみとしていましたが、少数株主の利益代弁者として当社の株価に連動する報酬を付与することが妥当と判断し、2021年6月26日の報酬委員会の決定により基本報酬の一部を非金銭報酬(譲渡制限付株式)制度に移行しました。


基本報酬は、一律の固定報酬に、役職に応じた一定の金額等を加算した金額としています。短期インセンティブ報酬は、単年度の業績向上に対するインセンティブとして、会社業績に応じて決定された役員賞与総額を各役員の職責および業績に対する貢献度等に従って配分した金額としています。中長期インセンティブ報酬は、中長期の企業価値向上に対するインセンティブとして、各役員に譲渡制限付普通株式を割当てます。なお、 日本国外に居住する役員の中長期インセンティブ報酬については各国の法制度に照らし、譲渡制限付株式の割当てに代え、相応の金額を支給しています。

中長期インセンティブ報酬については、コーポレートガバナンス・コードにおける、経営陣の報酬について中長期的な会社の業績等を反映させたインセンティブへの要請に応えること、そして、本制度のような一定期間譲渡が制限される株式報酬を報酬制度に組み込むことにより、対象役員が株価の変動について株主と意識を共有することにより、役員の企業価値向上への継続的かつ中長期でのコミットメントを強化することができると考えています。

 

2023年4月24日、以下のとおり役員報酬制度について報酬返還(いわゆる、クローバック)に関する方針を導入し、当連結会計年度及びそれ以降の年度を評価の対象期間とする、当社の執行役の譲渡制限付株式報酬及び短期インセンティブ報酬に適用しております。

 ・当社の執行役に対して交付した譲渡制限付株式の譲渡制限の解除後3年以内に、当社グループにおいて重大な会計上の誤り又は不正等が判明した場合には、当社は、審議の上、当該行為を行った又はこれらに関与した当社の執行役に対し、譲渡制限付株式の全部又は一部について、無償での返還を求めることができることとしています。 

 ・さらに、当社の執行役に対して短期インセンティブ報酬を支払った後3年以内に、当社グループにおいて重大な会計上の誤り又は不正等が判明した場合には、当社は、審議の上、当社の執行役に対し、支払済みの短期インセンティブ報酬の全部又は一部について、返還を求めることができることとしています。

 

執行役兼務取締役・執行役の報酬体系(平均)

基本報酬 固定報酬 報酬総額の約70%
短期
インセンティブ報酬
業績連動報酬 報酬総額の約30%
中長期
インセンティブ報酬
譲渡制限付株式報酬
(当社株価に連動)

取締役の選任理由

経験・専門性について

高い倫理観、職責に対する十分な理解などの指名方針に基づき、経験・専門性の一つ、または複数を有することを取締役の資質として定めています。

取締役スキルマトリックス

社内取締役選任理由

各取締役の選任時における理由は以下のとおりです。

氏名 役職 選任理由
松本 大

取締役会議長

1999年にマネックス証券株式会社(当時)を創業して以来、日本における新しい金融ビジネス分野である個人向けオンライン証券ビジネスの創出・確立に注力し、当社グループ事業の発展を牽引してまいりました。松本大氏の金融事業に対する深い造詣は、取締役会における有意義で実質的な議論を支える役割を果たしており、また、その高い指導力とすぐれた経営能力を活かし、当社代表執行役社長CEOとして当社グループ事業の新たな成長の推進を担っております。
清明 祐子

取締役        

当社グループの代表執行役Co-CEOならびにマネックス証券株式会社代表取締役社長として、社内において強いリーダーシップにより日本・米国のオンライン証券事業を統括するとともに、松本大氏と共に当社グループ全体の経営執行を進めております。
大八木 崇史

取締役

1999年4月の株式会社マネックスの創業メンバーの1人であり、日米の金融業界における長年の経験をもとに、取締役としての責務を果たすと同時に当社執行役CFOとして戦略の立案および米国ビジネスの運営を担っています。金融業界の変化や新たな事業機会も見据えながら、取締役会において積極的な提言を行っています。
山田 尚史 取締役
 
機械学習・深層学習を主軸としたIT関連のBtoB企業を共同創業した経営者で、5期目に東証マザーズ上場を果たした起業家としての成功体験を有しています。ITベンチャー企業の取締役、技術担当役員として経営に携わるとともに、知的財産の専門家(弁理士)として長い実務経験を持っています。起業家としての経験や30代という世代からの観点、テクノロジーに関する深い見識に基づき、当社取締役会において適切な提言を行っています。

 

社外取締役選任理由・出席状況

各社外取締役の選任時における理由は以下のとおりです。

氏名 役職 選任理由 2023年3月期
出席状況
槇原 純
※1
独立役員
取締役
報酬委員会委員長
指名委員会委員
筆頭独立社外取締役
日米において長年投資銀行ビジネスやインターネット関連企業の育成に携わり、高度な金融知識をはじめインターネット事業および金融事業に対する深い理解を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会において国内外の金融業界の状況も踏まえながら多くの提言・助言を行っています。さらに筆頭独立社外取締役として、取締役会のみならず、報酬委員会委員長、指名委員会委員としても強力なリーダーシップを発揮しており、モニタリングボードの要として当社に大きく貢献しています。在任年数は17年と長期にわたるも、当社として長期的な在任期間がすなわちガバナンスの機能を損なわせるとはとらえておらず、当社に関する知見の深さから取締役会を牽制する立場として、議論を活性化し取締役会の実効性向上に貢献していると判断し、社外取締役に選任しています。

取締役会
9回/9回
指名委員会
3
回/3回
報酬委員会
5回/5回

石黒 不二代 独立役員
取締役
指名委員会委員
IT、特にデジタルマーケティングへの造詣が深く、また、上場企業経営者として長年にわたる企業経営の経験を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会においてデジタル化が進む経済環境下における顧客サービスのあり方等、将来を見据えた積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 取締役会
9回/9回
指名委員会
3回/3回
堂前 宣夫 独立役員
取締役
指名委員会委員長
報酬委員会委員
国内外においてオンラインとリアルの両側面から一般消費者向けに小売事業を展開し成長させた経験を有し、加えてグローバルな組織・業務システムや内部管理体制の構築に関わる深い経験を有しています。その豊富な経験・見識に基づき、当社取締役会において事業の成長機会追求とリスク管理の両面から積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 取締役会
9回/9回
指名委員会
3回/3回
監査委員会
(在任中)
3回/3回
報酬委員会
5回/5回
小泉 正明 独立役員
取締役
監査委員会委員長
公認会計士資格を有する財務会計の専門家であり、金融機関を含む企業の会計監査業務の経験や企業の上場に関わる実務に携わった長年の経験を有しています。その豊富な経験・見識から、当社取締役会においてガバナンス機能の向上につながる積極的な提言・助言を行っています。さらに監査委員会委員長という重責も担っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 取締役会
9回/9回
監査委員会
10回/10回
金野 志保 独立役員
取締役
監査委員会委員
弁護士資格を有する法律の専門家であり、企業の業務執行にあたった直接の経験は有しておりませんが、数多くの上場企業の社外役員としての多様な経験を有し、加えて、弁護士業務を通じてコーポレート・ガバナンスに関わる深い知識を有しています。その豊富な経験・見識から、当社取締役会において経営の透明性の向上、ダイバーシティに関する示唆、および監督機能の強化につながる積極的な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 取締役会
9回/9回
監査委員会
10回/10回
朱 殷卿 独立役員
取締役
監査委員会委員
証券会社におけるM&A戦略や財務・資本政策に関する高い知見、金融機関における企業経営者としての豊富な経験や人脈を有しています。また、上場企業の社外取締役監査等委員の経験も有しております。グローバル金融市場や投資銀行関連の知見に基づき、当社取締役会において適切な提言・助言を行っており、当社に資するところが大きいと判断し、社外取締役に選任しています。 取締役会
7回/7回
 (在任中) 監査委員会
7回/7回
 (在任中) 
久能 祐子 独立役員
取締役
指名委員会委員
新薬開発を2度成功させた科学者であるとともに、アメリカと日本でIPOを経験した連続起業家であり投資家です。社会起業家支援や居住型の起業支援・起業家育成プログラムなどを通して、次世代の起業家育成に取り組むなど、社会貢献事業でも高い評価を受けています。グローバル経験、テクノロジー・サイエンスの知見と、経営・イノベーションに関する卓越した経験が、当社取締役会における適切な助言・提言につながることから、社外取締役に選任しています。 取締役会
-回/-回
 

※ 1 社外取締役・独立役員の互選により、2015年4月より筆頭独立社外取締役に指名されています。

執行役選任理由

各執行役の選任時における理由は以下のとおりです。

氏名 選任理由
清明 祐子
(代表執行役社長CEO)
当社グループの収益の柱である日本セグメントの中核事業会社、マネックス証券代表取締役社長として強いリーダーシップを発揮し、社内外から高い評価を得ている。当社CEOに求められている、決断力、コミュニケーション能力、戦略的思考力等に優れている。激変する事業環境においても持続的かつ長期的に企業価値を向上させるために、代表執行役社長CEOとして当社グループの経営執行の中核を担うことが適切と判断された。
松本 大
(代表執行役会長)
2004年8月の当社設立以来、創業社長として当社グループ事業の成長・拡大を牽引し、海外事業展開、クリプトアセット事業進出への道筋をつけてきた。クリプトアセット事業セグメントでのデジタル経済圏における収益機会の創造やグローバル戦略を推進するうえで、その任にあたることが適切と判断された。
兼子 公範
(執行役)

証券系のシステムに精通し、長年にわたり、マネックス証券の取締役として同社の収益向上に貢献している。グループ全体におけるセキュリティ対策およびリスク管理が重要となる中で、その任にあたることが適切と判断された。

大八木 崇史
(執行役CFO)
米国セグメントの担当として尽力し、黒字化基調への転換を実現した。米国事業の収益力強化を進める上で、米国セグメント担当および当社グループのチーフ・フィナンシャル・オフィサー(CFO)としてその任にあたることが適切と判断された。
ジョン・バートルマン
(執行役)
米国セグメントのTradeStationグループのトップとして、人員削減の難局に対処しながらも強いリーダーシップを発揮して経営を立て直し、黒字化基調への転換を実現した。外部環境の激しい変化に対応し、TradeStation事業の収益性を高めるために、引き続きその任にあたることが適切と判断された。
桑島 正治
(執行役)

証券業界のシステムに精通しており、日興コーディアルグループの危機にあたっては同社代表執行役社長として同社グループを立て直すなど証券業界における経営執行の優れた実績がある。2009年以降は当社およびマネックス証券の経営の一角を担い、マネックス証券における基幹システム内製化を主導した。暗号資産ビジネスを始めとして新規の事業を展開する中でグループ全体における内部統制や危機管理が一層重要になると思われ、引き続きその任にあたることが適切と判断された。

萬代 克樹
(執行役)
当社グループの中核であるマネックス証券において、長年商品開発部門を担当し、様々な新商品、サービスの提供を通じて、同社の収益向上に貢献している。日本セグメント担当として、当社グループの重要戦略であるアセマネモデルへの推進を進めるため、引き続きその任にあたることが適切と判断された。
山中 卓也
(執行役)
複数のオンライン証券会社において、経営企画部門や人事部門における経験が豊富であり、特にジェット証券では代表取締役社長として経営にも携わった経験を持つ。今後、当社グループが人事戦略におけるダイバーシティの更なる強化を図るにあたり、引き続きその任にあたることが適切と判断された。
山田 尚史
(執行役)
機械学習・深層学習を主軸としたIT関連のBtoB企業を共同創業した経営者で、ITベンチャー企業の取締役、最高技術責任者としての経営経験と、知的財産の専門家(弁理士)としての長い実務経験を有する。IT関連の知見と若い世代としての新鮮な感覚により、クリプトアセット事業セグメント、テクノロジー担当およびAI戦略担当として、引き続きその任にあたることが適切と判断された。

アドバイザリーボード

(※2013年5月開催の第52回をもって終了)

当社は、マネックス証券当時の1999年12月から2013年5月までの約13年半、52回にわたり、大所高所の立場から、バランスのとれた多面的・中立的な意見・提言や、当社グループ全体の事業運営に資する幅広いアドバイスを得ることを目的として、毎四半期に一度、有識者で構成されるアドバイザリーボードを開催してまいりました。
当社が2013年6月に委員会設置会社に移行したことに伴い、アドバイザリーボードはその役割を終えたと判断し、開催を終了することといたしました。

アドバイザリーボード開催一覧

第3回(2000年5月開催)から第52回(2013年5月)までの各回の参加委員および主な議題を掲載しております。