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「ART IN THE OFFICE」は、現代アートが未開拓の表現を追求し、社会の様々な問題を提起する姿勢に共感し、当社を通じて現代アートの新進アーティストを支援する場づくりをしたいとの想いから、2008年より当社が社会貢献活動並びに社員啓発活動の一環として継続して実施しているプログラムです。2022年度は、87の応募作品案の中から、円形のプレスルームの中心に、実際には存在しない「噴水」をイメージし、そこから新たな発想や考えが溢れ出し、新しい議論が生まれ、更新されるというアイデアをもとに、半立体的な絵画を組み合わせ、空間を捉えた抽象表現が高く評価され、平松 可南子氏の作品「内側から見た噴水｜Fountain Seen from the Inside」が受賞作品として選出されました。

作品：平松 可南子／「内側から見た噴水｜Fountain Seen from the Inside」

パネルにアクリル、色鉛筆、クレヨン、H1600×W8400×D40(mm)

 

※プラン選出時の作品タイトルは「Fountain seen from the inside room」

 

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平松 可南子氏 コメント：

 

滞在制作中、この作品をどのように仕上げるかについてずっと考えていました。私は何年も絵を描き続けていますが、絵が完成する瞬間はいまだに毎回わかりません。それは、急に出来たと気が付いたりもするし、一旦完成したと思っても、次の日アトリエに来るとまた描き足したくなるような、曖昧な感覚です。

 

今回の最終的な仕上げのきっかけになったのは、社員の皆さんに向けたワークショップでした。ワークショップでは、絵を描く上で、まず線を引くとはどういうことかといった根本的な体験から始め、その後、私の描いた絵の上から自分の表現を重ねて描くという内容にしました。参加者からすると他の人の絵の上から描くという行為は、はじめての体験だったのではないかと思います。そういったはじめてのことに対する挑戦から生まれた、一人一人の解放されたストロークを私の絵に反映させたらどうなるだろうという興味から、ワークショップで皆さんが描いた絵の要素を、私が制作している噴水の作品に加えていきました。そうした絵の変化に応じるように私の筆もより一層進み、おそらく最初はなかなか入りづらい雰囲気だったプレスルームにも段々と人の出入りが増え、社員の方達と話す機会も増えました。ある体験が呼応し、自然と新たな出来事が起こる、色々なことはつながっているのだと思います。

 

内側からの噴水は、見ようと思えば実際に見ることができるし、その反面見ることができない風景です。それはある種のフィクションでもあり、だからこそ想像できる余白の部分があります。そのような余白があったからこそ、絵を通して皆さんとの対話ができ、まだ誰も見たことがないマネックスだけの噴水が、この滞在制作の中で出来たと思っています。