コインチェックのセキュリティについて、外部のセキュリティソフトも導入検討してはどうか?

(回答者:松本議長)

現在、コインチェックでは、社内のセキュリティ開発の他に、外部のセキュリティソフトを使ったり、セキュリティコンサルティング会社からのアドバイスを受けたりしている。セキュリティの専門家の確保については、グループ内での人事異動や、外部からの採用も含めて対応している。世界標準でセキュリティを考えなければならないので、マネックスグループや、私個人のネットワークなどを使って、世界的に優れたセキュリティのツールや専門家を確保して、サイバーセキュリティの強化に取り組んでいる。セキュリティ対策はいたちごっこなので、不断の努力でコインチェックのみならず、マネックス証券、トレードステーション含めて、世界レベルで今後も継続してセキュリティの強化を進めていく。

コインチェックのグループ入りは、今後のマネックスグループの成長エンジンになっていくと思うが、今回の総会付議議案である取締役の選任とコインチェックは戦略的にリンクしているのか。

(回答者:松本議長)

端的に答えると、リンクしていない。コインチェックのグループ入りの発表は2018年4月6日で、実際にグループ入りしたのは4月16日である。今回の総会付議議案を決めた指名委員会は4月18日に開催されたが、実際には3月頃に取締役選任候補者を考えていたので、今回の総会に付議されている取締役候補者の選任とコインチェックのグループ入りとのリンクはない。しかしながら、今回の総会付議議案については、2017年10月に発表した「第二の創業」を考慮した取締役構成になっている。今後環境が大きく変わっていく中で、来年に向けた取締役会構成を指名委員会で考えていきたい。

コインチェックの将来について、仮想通貨交換業者の登録(業者登録)のスケジュール、収益貢献の見通しおよび他社の行政処分の影響など、わかる範囲で教えてほしい。

(回答者:松本議長)

スケジュールはなんとも答えられない。4月6日のコインチェックのグループ入りの記者会見で、業者登録は2ヶ月程度を目標にしたいと発言し、その後の取材でも目標は変えていない発言をしている。最終的に業者登録の可否を決めるのは金融庁であり、当社はビジネスの再開に向けて全力で取り組んできている。目標は変えないが、少しだけ遅れている。6月中の業者登録はぎりぎりになっており、現実的には6月中という目標の達成は簡単ではないが、コインチェックの内部管理、セキュリティの改善は順調に進み、金融庁とのコミュニケーションもしっかりできているので、スケジュールの大幅な変更はないと感じている。

マネックスグループは、ここ数か月で仮想通貨ビジネスをものすごい速さで学習してきた。金融庁も同様であり、目線が変わってきた中で6月22日の金融庁による複数の仮想通貨交換業者に対する行政処分がなされたと思う。

コインチェックの収益規模については、2018年3月期の決算説明資料で、未監査の2018年3月期およびNEMの不正送金後の2018年2月~3月の2か月間の決算数値を開示した。今後は、コストも増え、競争が激しくなるなかで利益率は低下するだろうが、セキュリティや人材確保などに対するコストの増加は限定的。

コインチェックの内部管理、サイバーセキュリティのレベルは上がってきており、このレベルが仮想通貨交換業界のスタンダードになれば、参入障壁が高くなり、競争はそれほど激化せずに、利益率は維持できると思う。セキュリティレベルを強化し、お客様を守ることで、顧客基盤を拡大し、元のコインチェックの利益まで戻していきたい。