2008年より当グループが社会文化活動の一環として行っている「ART IN THE OFFICE」プログラムについて、当社の子会社であるマネックス証券が、本年度も「ART IN THE OFFICE 2014」として実施することといたしました。このたび、75点の応募作品案の中から、本年度の作品制作アーティストとして、川内理香子氏を選出しました。

選出作品:鮨/寿司/すし/sushi

選出作品:鮨/寿司/すし/sushi
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参考作品:「ウラオモテ」/2012年/Dermatograph , Pencil , Watercolor on Paper  410×318mm
※「ウラオモテは、「ART IN THE OFFICE 2014」の受賞作品ではなく、川内氏が過去に制作した既存の作品を、今回の作品案の参考として掲載するものです。受賞作品は、2014年6月以降に制作予定です。

 

川内理香子氏コメントおよび作品コンセプト:
今回、マネックス証券のプレスルームの展示にあたっては、私がよく描いている食べものの中から日本独自の食べものである鮨を取り上げたいと思っています。酢飯と刺身という非常にシンプルな組み合わせの中で、様々な見た目、形と、複雑な素材の味を持つ鮨という食べものが、時代の先をいき、その時代によって様々な変革をとげていくであろうマネックス証券と呼応してくれるのではないかと考えました。
食は万人に、世界に共通するものだと私は思っています。「同じ釜の飯を食う」という日本の言葉や、キリストがこれは自分の血と肉であると弟子たちに配ったワインとパンからも、食卓を囲み同じものを食べ、飲むことは、相手への理解を深められるため、意思疎通を超えた感覚の共有があります。 プレスルームという食卓を通して、様々なかたちの会話やアイデア、絆が生まれるような空間にしたいです。

川内理香子(かわうち りかこ)氏プロフィール

川内理香子(かわうち りかこ)氏プロフィール
1990年東京都生まれ。2009年文化学院高等課程美術科卒業。現在、多摩美術大学絵画学科油画専攻4年在籍。2014年第1回CAF賞保坂健二朗賞を受賞。ドローイングなど「描く」ことを軸に制作している。「食」が人間の根源にあるのではないかと考え、食べものを描きながら、そこを入り口にして自己や他者、体のことや人間のこと、その関わり合いなどを追っている。

審査員コメント

飯田 志保子氏(インディペンデント・キュレーター、札幌国際芸術祭2014アソシエイト・キュレーター)
思ったより奇想天外なアイデアは少なかったですが、どの応募者の方も真摯に自分の表現と向き合っている姿勢に好感を持ちました。審査員の皆さまと議論しながら、迷ったり逆転劇が起こったりした過程も楽しませていただきました。 選定には、このプレスルームを使う社員の皆さまや訪れる方々とのインタラクションがある作品を念頭に置きました。受賞作はちょっと不思議なところがあるのが魅力的なドローイングで、食文化を通していろいろな対話の糸口を生み出してくれると思います。多様なアーティストの作品を楽しめるプログラムですし、これからも期待しています。

塩見 有子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)
じわじわと「引き」が強くなる作品です。最初は、「す、すしをプレスルームに??」と単純に驚きました。白と黒のシンプルなドローイング、丁寧に描いているようで、でも実は、瞬時に筆をすべらせているようにもみえる絶妙なタッチ。 さらには、すしを通してみえてくる文化やライフスタイル、国際社会などへと想像が膨らみ、気がつけば、最後まで彼女を候補として推していました。異色の組み合わせから生まれる、新たな地平。作品を楽しみにしています。

南條 史生氏(森美術館館長)
大変意欲的な応募を楽しみながら審査させていただいた。様々な条件のある展示が前提だから、選ぶ方もいろいろと想定し、あるいは想像して選ばなければならない。そこが面白いと同時に難しい審査でもある。 受賞作はテーマがいい。今の日本とつながっている。しかし食文化は楽しいもののはずなのに、この作品はモノクロームでえらくシリアスにも見える。色がなくて寂しいという感想もあるだろう。しかし達者な筆遣いと沢山の寿司のにぎやかさがそれを補っている。ある種のユーモア、ある種のひょうきんさも感じられる。そこはかとない人間味が持ち味。 このアートの設置は、パーソナルな食への欲望が、パブリックなオフィス空間とつながってくる不思議な効果を生むに違いない。

林 真理子氏(作家)
この審査の最中、来日したオバマさんが「すきやばし次郎」で人気最高のお鮨を召し上がっていました。いまやお鮨は世界的ブーム。その形をこれだけ洗練されたアートにしたのはすごいですね。「外国のお客様が喜ぶ」という松本CEOの言葉も大きな決め手となりました。

松井 孝典氏(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)
芸術作品の審査というものに初めて参加した。専門家の評価とどのような点で異なるのか、その点に興味があったが、基本的にいいと直感した作品に大きな違いがないことを確認できたのは興味深かった。私が第一位と評価した作品は最終選考に残ったが、最終的に一位にはならなかった。しかし最初の段階から印象的で迷った作品が結果的には選考された。いいという直感は割合と普遍性があるものだ。

松本 大(マネックス証券株式会社代表取締役社長CEO)
遂に7回目となった「ART IN THE OFFICE」。今年は審査員の顔ぶれも、受賞作品も、今までの枠を超えていきました。科学とアート。文学とアート。そして食とアート。アートは私のメインの活動領域と全く相反する存在ですが、それ故にアートに惹かれ、普段使ってない筋肉を使うような、とても気分のいい刺激になります。「ART IN THE OFFICE」というアクティビティを、これからも大切にしていきたいと思います。