「ART IN THE OFFICE 2017」 開催と選出アーティストについて

2008年に当社が社会文化活動の一環として開始した「ART IN THE OFFICE」プログラムについて、当社の子会社であるマネックス証券が本年度も実施しておりますが、このたび、88点の応募作品案の中から、橋本晶子氏を「ART IN THE OFFICE 2017」受賞アーティストとして選出しました。橋本氏の作品案は、鉛筆による描写力の高さや意外性に加え、プレスルームというオフィス空間を利用することにより、そこで働く人々とアートとの関係性について考慮している点が評価されました。

マネックス証券は、本年5月に本社オフィスを移転した際に、プレスルームを一新しており、橋本氏の作品はそこに初めて展示される作品となるため、これまで以上に多くのマネックス証券の来訪者の目に触れることを期待します。

なお、「ART IN THE OFFICE」プログラムは2010年よりマネックス証券の主催で開催しております。

選出作品:There is something I want to talk about.

参考作品:「view」/2016年/墨、アクリル、鉛筆、紙
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参考作品:「view」/2016年/墨、アクリル、鉛筆、紙

※無断転載・複製を禁じます。

※「view」は、「ART IN THE OFFICE 2017」の受賞作品ではなく、橋本氏の既存作品を今回の作品案の参考として掲載するものです。受賞作品は2017年6月以降に制作予定です。

 

橋本氏作品コンセプトおよびコメント:

見えるものの不確かさ、そして空間と絵画について考えています。無意識に見えているような、取るに足りないバラバラのイメージを、展示空間に再構成して新たな風景を生み出す作品などを制作してきました。

目に入ってくる光景には、むしろよく見えていない部分があり、多くは不確かなイメージのままで捉えられ過ぎていくようです。描くことと、それを配置することで、イメージと現実の有りようを探っています。

今回は、会議室に人が集い、円形の空間であることを意識して取り組みます。この場で起こる会議と、壁に展開される絵が互いに呼応して、1つの風景が生まれるよう試みます。

橋本晶子氏プロフィール

1988年生まれ。2015年武蔵野美術大学大学院修士課程修了。在学中から主に紙と鉛筆での絵画、インスタレーションを表現手段とする。これまでの個展に「call if you notice.‐気づいたら電話して‐」gallery blanka/愛知(2016)、グループ展に「東京サンパウロ‐表現の両極‐」アフロブラジル美術館/ブラジル(2014)、「シェル美術賞2014」審査員賞、「a.a.t.m.アートアワードトーキョー丸の内2015」丸ビル/東京(2015)などがある。

審査員コメント(順不同)

村上太一氏(株式会社リブセンス代表取締役社長)

アートには興味があり美術館やギャラリーにもよく足を運びますが、審査は初めてでした。応募作品1つ1つに作家自身の経験や歴史、哲学、社会の見方などが反映されており様々な人生が垣間見えたほか、審査員のみなさんが作品をみる際の視点を知ることができ勉強になりました。受賞した作品は画力の高さを感じるほか、タイトルの付け方や空間の特性を活かした新たな提案などに観る人がどう感じるかを熟考している様子が伝わってきました。今後の可能性の広がりにも期待しています。今回の受賞をきっかけに、何かを壊し、また大きな境地を創造していける作家になって欲しいです。

撮影:<br/>越間有紀子
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撮影:
越間有紀子

塩見有子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)

受賞者の鉛筆による描写力やモチーフの切り取り方、展示の方法がすぐに目に留まりましたが、さらに、これまでやったことのない新たな表現や展示に挑戦しようとしていると感じました。また、プレスルームの空間を想像して、部屋で会議をする人にとっての作品の見え方や捉え方を提案に含めている点も評価しました。

全体としては美大出身の方からの応募が増えているように感じました。一方でレベルが上がったかと言えば、そうとも限らず、どこか似た印象を持ってしまいました。それでも審査員の方ともじっくり議論をし、最終まで残った数点はどれをとっても面白いもので、作品を見てみたいと思わせるものばかりでした。

久保田真帆氏(MAHO KUBOTA GALLERY ディレクター)

全体として「私」の個人的な物語からの飛躍がない作品が7〜8割を占めていたことは残念です。俯瞰して社会とアートの関係性や新しいアートの提案がある作品に出会えると、新鮮な驚きがあり楽しいです。一方でオフィスという空間に展示されるので、そこで働く方がアートと一緒にどう日常を過ごすかということを重視して選びました。

受賞作は、一見ペインティングかと思ったのですがメディアが鉛筆であること、そしてコンポジションの解き方が面白い。湿度感が取れた時にすごく飛躍が見えるんじゃないかと思います。完成された技術力はあるけれども、今後変化していく様子を観たいです。

 

Photo:<br/>Kenichi Aikawa
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Photo:
Kenichi Aikawa

難波祐子氏(現代美術キュレーション)

初めて審査に参加させて頂き、非常に密な時間を過ごすことができました。今回は力のある作品もありましたが、「なんだこれは!」というほどのものがなく、みんなある意味保守的で、綺麗にまとまってしまっていたのがやや残念でした。

審査のポイントとして、プレスルームの曲面の空間をきちんと活かし、かつ、中で働く人にとっては、一年近く毎日のように目にするものなので、驚きを与えつつ、オフィスの空間にもマッチするという両方を兼ね備えているものを考慮しました。この空間の持つさまざまな意味を考えながら制作することで、新たな可能性を見つけてくれたら嬉しいです。

松本大(マネックス証券取締役会長)

今年で10回目をむかえる「ART IN THE OFFICE」。今回も様々なドラマあり不安定さもあり、ダイナミズムが感じられる審査会で楽しかったです。今年は「作品と見る人・座る人との関係性を考えている」ことが感じられる作品案が受賞したのではないかと思います。私はコンテンポラリーアートとは、作品と生きている人とのコミュニケーションであるように考えています。それが全体で感じられる作品案でした。新しいオフィスで展開される10回目の「ART IN THE OFFICE」。どのような展開が生まれるのか。期待しています。