2008年に当社が社員啓蒙活動、並びに社会文化活動の一環として開始した「ART IN THE OFFICE」プログラムについて、当社の子会社であるマネックス証券が本年度も実施しておりますが、このたび、87点の応募作品案の中から、金子未弥氏を「ART IN THE OFFICE 2018」受賞アーティストとして選出しました。金子氏の作品案は、「見えない地図」をキーワードにその場に居合わせた人の記憶を頼りに形づくるコンセプトのユニークさ、また、アートと人々のコミュニケーションの広がりに可能性を感じさせられる点が評価されました。

なお、「ART IN THE OFFICE」プログラムは2010年よりマネックス証券の主催で開催しております。

選出作品:「見えない地図を想像してください」

©Motohiko David Suzuki<br/><br/>参考作品:「地図の沈黙を翻訳せよ」/2017年/アルマイト処理をしたアルミニウム
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©Motohiko David Suzuki

参考作品:「地図の沈黙を翻訳せよ」/2017年/アルマイト処理をしたアルミニウム

 

※無断転載・複製を禁じます。

※「地図の沈黙を翻訳せよ」は、「ART IN THE OFFICE 2018」の受賞作品ではなく、金子氏の既存作品を今回の作品案の参考として掲載するものです。受賞作品は2018年6月以降に制作予定です。

金子氏作品コンセプトおよびコメント:

「見えない地図がここに書かれていると想像してください」

この問いから、どんな地図を想像しますか?出勤中に見たメトロマップ、もしくは太平洋が真ん中に配置された世界地図、あるいは空想上の場所かもしれません。今回行うプロジェクトで、参加者はプレスルームの湾曲した壁面に“見えない地図”を想像して頂きます。さらにその地図上に、参加者の「都市の記憶」たどりながらいくつかの都市名を書き込んでもらいます。その配置をもとに、都市名を線で繋ぎ、全体が1つの像を結びます。初めは誰にも“見えない地図”が、一つの壁面で影響し合いながら複雑に重なり、次第に地図の全貌を浮かび上がらせます。このプロジェクトは作者が“都市”と呼ぶ、「不特定多数の場所で同時多発的に変化する場」を捉えるためのひとつの試みなのです。

金子未弥氏プロフィール

1989年神奈川県生まれ。2017年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号(芸術)取得。
人々の場所に関する記憶から「都市の肖像」へと導くプロジェクトや作品制作を行っている。
黄金町レジデンス・アーティスト、Tokyo Midtown Award 2017 グランプリ受賞。
近年の展示に、2016年個展「金子未弥展-都市の肖像を求めて-」(KOMAGOME1-14cas/東京)、2018年「Street Museum」(Tokyo Midtown Plaza B1, Metro Avenue/東京)などがある。

審査員コメント(順不同)

出井伸之氏:クオンタムリープ株式会社 代表取締役 ファウンダー&CEO

全体に今の時代を反映している良い物が沢山ありました。

若い人からの応募が多いのかと思っていましたが、40代の応募者が意外と多く驚きました。

受賞した金子さんの作品については、都市やビジネスを意識されていること、そして社員皆さん参加型で創りあげるというところが良いと思いました。オフィス空間で作ることで、さらに良い作品となることを期待します。

撮影:<br/>越間有紀子
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撮影:
越間有紀子

塩見有子氏(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)

壁が曲面となっているこの空間での公募は2回目で、応募してくださるアーティストにとって、展示空間としては簡単ではないと思うのですが、その特徴をうまく使った平面作品案が多くありました。そうしたなかで、金子さんの作品提案は壁を一面に使い、素材の選び方を含めて、空間の広がりを感じさせるものでした。また、作品成立のためには、社員の参加が不可欠であり、これまでにない試みとして評価しました。

撮影:<br/>片山真理
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撮影:
片山真理

住吉智恵氏:アートプロデューサー、ライター

今年で11回目と回を重ねた、明解な方向性をもつ公募プロジェクトであるためか、設置スペースと鑑賞者層を熟慮しターゲットを絞ったクレバーなアーティストが多いという印象でした。もう少し「オフィス」「会議室」「金融」といった設置条件から飛躍したアイデアがあってもよい気もしました。

受賞者の金子さんの作品は、まさに「お金」の世界がヴァーチャルで抽象的になりつつある時代を反映した、高度にコンセプチュアルでユニークな視点を持っていると思います。

審査については、多数の作品案をいっせいに見るので、提出資料は初めて見る人にすぐに伝わるビジュアルプレゼンテーションが鍵をにぎると思いました。

撮影:<br/>西野正将
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撮影:
西野正将

中野仁詞氏:神奈川芸術文化財団 キュレーター

普段は大学やトークイベントなどで学生や若いクリエイターの作品審査や講評をする機会が多いのですが、今回下は20代から、上は60代まで幅広く色々な方がこの円い部屋にターゲットを絞って色々なプランを考えられたということが新鮮で面白かったです。

受賞された金子さんの作品は社員の方々にワークショップを元に、社員の方の言葉を文字に置き換えて、ここに来て会議をする方やお客様などと社員のコミュニケーションをこの空間の中で図って行くという、面白いコミュニケーションが現れる。

色々な会話をしながら、エッセンスを抽出して美術という作家の思想の造形物として、良い作品を作っていただけたらと思います。

松本大(マネックス証券取締役会長)

今年で11年目の「ART IN THE OFFICE」。遂に10年サイクル2周目に突入しました!

近年、作品の幅や粒が揃ってくる傾向があったのですが、今年は幅も広く粒もバラバラで、楽しい審査会でした。そして受賞作品は、第二の創業を掲げている今のマネックスの世界観にどこか通じるものとなりました。私はコンテンポラリーアートとは、作品と生きている人とのコミュニケーションであるように考えています。

これからのマネックスを先取りして語りかけてくるような11年目の「ART IN THE OFFICE」。オフィスでの展開が今から本当に楽しみです!