マネックスグループでは、現代アートの新進アーティストがマネックスの本社オフィスに滞在し、社員と交流しながら作品を制作し、完成した作品をオフィスに展示するだけでなく、制作過程で生まれる社員とアーティストの対話や、そこから生まれる気づき・刺激を大切にするユニークなプログラムがあります。

それが、2008年から実施している、公募型アート・プログラム「ART IN THE OFFICE(以下、AIO)」です。

 

「アートは、自分とは異なる価値観や考え方に触れるきっかけを与えてくれるもの。AIOを通じて、社員がそうした“違い”を自然に受け入れ、多様性や独創性を前向きに捉える文化を育んでいきたい。そして、その積み重ねが、これまでにない新しい商品やサービスを生み出す力につながってほしい―」

 

マネックスグループの会長でありAIO創設者の松本のこうした想いこそが、本プログラムの原点です。

 

初年度の2008年から継続して実施されており、現代アートの振興に貢献してきたことが評価され、文化庁が文化活動などの功績をたたえて贈る「令和7年度 文化庁長官表彰」を受けました。

何気ない会話がアートになる。社員とともにつくる「会話の木」

今年で19回目を迎えるAIOでは、121点の応募作品案の中から、藤本楓さんの「無駄話をしよう(会話の木)」が受賞作品として選出されました。

 

ART IN THE OFFICE 2026審査会の様子
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ART IN THE OFFICE 2026審査会の様子

何気ない会話や雑談を作品の一部にしていく今回の作品のコンセプトは、効率化が進む現代において、あらためて人と人との対話の価値を問いかけるものであるという点が評価されました。

 

実際にアーティストがオフィスで滞在制作するのが大きな特徴のこのプログラム。今回の滞在期間は5日間ということで、藤本さんは「時間が全然足りません…!」と話しつつ、試行錯誤を重ねて見事に完成させました。

今回のテーマ、「無駄話をしよう」にちなみ、制作期間中には多くの社員が会議室を訪れ、制作風景を眺めながら藤本さんとの会話を楽しみました。何気ない会話から生まれた気づきやアイデアが作品の一部となり、社員との交流も制作の大切な過程となりました。​ 

制作の合間には、社員向けのワークショップも開催。
作品テーマ「無駄話をしよう(会話の木)」にちなみ、参加した社員はグループでの会話から気になった言葉を拾い、それぞれの「木」を描くことに挑戦しました。いつもデスクワークで凝り固まった頭をひねりつつ、みなさん夢中で「無駄話」をしながら描いていきます。

出来上がった木はまさに十人十色。参加した社員からは「刺激をもらうことができた」など大盛り上がりでした。

アーティストと社会をつなぐ、私たちのAIOの在り方

マネックスグループでは、受賞アーティストの活動を継続的に支援し、ビジネス界やアート界との接点を広げる取り組みを行っています。

その一環として、9月9日にはAIOの審査員をはじめ、経済・アート界で活躍する方々をお招きし、レセプションを開催しました。当日は、藤本さんの過去作品も展示し、作品を通じてアーティストとしての個性を知ってもらうと同時に、今後の活躍の機会を広げる場にもなりました。実際に、藤本さんの作品に興味を持った他社の方からワークショップを依頼されたり、当日話しきれなかった方と個別に連絡を取って交流を広げているとのことです。

 

マネックスの祖業である証券会社は、企業と投資家を結びつける役割を担っています。AIOもまた、アーティストと社会をつなぎ、新たな出会いや可能性を生み出す取り組みの一つです。

AIOのプログラムは、ただお披露目をして終わりではありません。

アーティストがアート界の第一線で活躍する審査員との対話を通じて、今後の作品や表現を深めるためのサポートであるメンタリングも行います。

​今年の審査員、横浜美術館館長の蔵屋美香さん(写真右)にご協力いただき、作品について藤本さんと意見を交わすことで、今後の活動につながる機会を設けました。

 

なかでも蔵屋さんは、「効率化が進む現代において、無駄と思われるものも含め、直接的な経験や感覚が重要だと感じています。画力、造形力など、AIにはできない独自の表現を追求することは藤本さんの強みであり、今後も活かしてほしいです」と藤本さんのこれからの活躍に期待を寄せていました。

 

約5日間にわたり、オフィスに滞在しながら制作を続けた藤本さん。

社員との交流を通じて、マネックスグループで働く人たちへの印象にも変化があったといいます。

 

ー滞在制作を通して、印象に残っていることはありますか?

一番大きかったのは、「社会人」という存在への印象が変わったことです。皆さんが仕事について話している様子を見ていると、学生同士で作戦を考えているような雰囲気があって、とても親近感が湧きました。

特に印象的だったのは、マネックスグループの社員の方が、一人ひとりが自分らしさを持って働いているように見えたことです。言葉にするのは難しいのですが、みんながクッション材を持っているような、どこか余裕があるように感じました。もし自分が社会人になっても、自分らしさを無理に消さなくていいんだ、と思えたことは、自分にとって大きな変化でした。

 

ー藤本さんにとって、AIOはどんな経験になりましたか?

社員の皆さんと交流したり、ワークショップを行ったりしながら制作したからこそ、自分一人では思いつかなかった表現や、新しい技法にもたどり着くことができました。完成した作品も「すごく自分らしいものができた」と感じています。今回の経験は、自分の人生の中でも大きな一ページになったと思います。

 

 

19回目を迎えた「ART IN THE OFFICE」。

 

完成した作品を楽しむだけでなく、アーティストがオフィスで試行錯誤する姿を間近で見たり、ワークショップに参加したり、作品をきっかけに何気ない会話が生まれたり。AIOは、アートを通じて社員が普段とは少し違う視点や考え方に触れられる機会にもなっています。

 

今回のテーマは「無駄話をしよう」。

一見すると仕事とは関係のない会話や寄り道から、新しい発想や人とのつながりが生まれることがあります。効率や正解だけを求めるのではなく、さまざまな価値観や新しいものに触れ、それを楽しむ。そんなマネックスのカルチャーが、AIOという取り組みにも表れています。

 

オフィスを訪れる機会があれば、ぜひ作品にも注目してみてください。