マネックスグループでは、2012年3月29日に、日本・米国・中国を中心とした全世界のマネックスグループの経営陣および幹部社員がテキサス州ダラスに一堂に会してGMC(Global Management Committee)ミーティングを開催し、今後私たちマネックスグループが向かうべき方向性について議論いたしました。ダラスは、当社の米国子会社トレードステーション・グループのシステム開発会社トレードステーション・テクノロジーズの拠点です。

このGMCミーティングでは、マネックスグループが構築しようとしているグローバル証券取引プラットフォームを「いつ、どの順番で」内製化していくかに関しての詳細な開発計画について合意を形成したほか、グローバル証券取引プラットフォームを活用することで競争力あるビジネス基盤を創出し、収益の拡大およびコスト抑制をいかに実現していくかについて協議が行われました。
マネックスグループが計画しているグローバル証券取引プラットフォームは、米国の金融専門誌Barron’sの年間評価ランキングで総合評価4つ星半の最高格付けを取得し、アクティブトレーダー向けのシステム技術に強みを持つ米国子会社トレードステーションの技術力、および、世界150カ国に顧客基盤を持ち、SNSを活用したマーケティングなど先進的なサービスを自社システムで提供する米国FX専業子会社IBFXの技術力を活用して開発を進めます。

 

マネックスグループは、ダラスで開催されたGMCミーティングにおけるグローバルの経営幹部間の合意に基づき、(1) 日本事業、米国事業、中国(香港を含む)事業にグローバルFX事業を加えた4つの事業領域における収益拡大戦略を実行することに加えて、(2) グローバル証券取引プラットフォームをマネックスグループ内で内製化し、(3) このプラットフォームの競争力・優位性を活かした差別化および固定コスト削減を着実に実行して参ります。

マネックス・グローバル・ビジョン戦略の真価

またダラスでのGMCミーティングでは、マネックスグループのグローバル・ビジョン戦略の真価は、 システム内製化による外部取引先への支払い費用削減を通じた固定費削減の実現はもちろん、証券取引システムの内製化および共通化がもたらす「顧客への付加価値提供に伴う収益獲得機会の飛躍的な増大」にあることが改めて確認され、合意された方針は、直ちに世界11拠点のマネックスグループ全社員に共有されました。

マネックス・グローバル・ビジョン戦略の真価

私たちが描く戦略は、オンライン証券グループとして世界初の戦略です。個人向け証券ビジネスのシステム基盤をグローバルに共通化し、技術力に強みをもつグローバルな金融グループを創ることを目指します。実現への道のりは決して平坦ではありませんが、ダラスでのGMCミーティングで、 今後4年にわたる詳細なシステム開発計画について合意を形成したことで歩むべき方向性がより明確になりました。今後その計画を一つひとつ実行し達成していくことは、グローバル・ビジョンに携わるグループ全従業員に勇気を与え、ひいては私たちの最も大切な、全世界のお客様に対して付加価値のある顧客体験を提供することにつながると確信しています。

GMCミーティングでは、システム開発計画に加え、日本、米国、中国(香港を含む)およびグローバルFX事業における今後4ヵ年の事業施策と収益目標を共有しました。この目標は、私たちがお客様および社会に対してどのような付加価値を提供していくかの方向性と意欲を提供してくれます。

グローバル・ビジョン戦略に基づく各事業の課題と方向性

日本・米国・中国(香港を含む)の各事業およびグローバルFX事業は、各々にチャレンジがあります。以下、GMCミーティングで共有された各事業の方向性と課題について、ステークホルダーの皆さまにその一端をご紹介します。

 

マネックスグループの中核であるマネックス証券を中心とした日本事業においては、トレードステーション社の株式・先物・オプション取引ツールの提供やアクティブトレーダー向けの有利な手数料体系の導入により他オンライン証券顧客を誘致すること、トレードステーションのインフラを活用して導入予定の米国株サービスで日本国内No.1のポジションを獲得することなどを通じて、グローバルなオンライン金融グループとしてのブランドの確立を目指します。
マネックス証券にとっては、これまで提供してきた多様な顧客層に向けた豊富な商品サービスラインナップに加え、自社技術による先進的で付加価値の高い取引ツールとサービスを提供することで、株式等をアクティブに取引する顧客層から支持を獲得できるかどうかが、非常に大きなチャレンジです。

 

トレードステーション社およびIBFX社を中心とする米国事業(欧州を含む)においては、従来から厚い支持を得ている高頻度取引アクティブトレーダー層の支持を引き続き得ると同時に、高頻度には取引しない裁量取引トレーダー層の支持を獲得できるかがチャレンジとなります。圧倒的な技術力とその技術力に対する高い評価を活用し、アクティブトレーダー層のみならず、より広範な顧客層の開拓を目指すべく、プラットフォームの拡大や料金体系の見直しなどを行って参ります。

 

中国事業(香港を含む)における事業課題は、事業機会の発見と、どのような形でビジネスを形作っていけるかということに尽きます。中国にとっての外資系証券会社による中国国内証券業界への参入が制限されている現状において、マネックス証券は、オンライン専業証券会社として世界で初めて中国本土内に駐在員事務所を構え、中国本土での個人向けオンライン証券ビジネス展開の機を窺っています。また、香港市場は今や中国マネーの半ば公認されたオフショア市場であり、ここを通じて中国本土マネーをいかに取り込んでいけるかも課題です。香港に拠点を置くマネックスグループの100%子会社マネックスBOOM証券が、この課題にチャレンジしています。
中国本土および香港での事業展開は、トレードステーションの技術力、およびマネックスグループの資本力を活用して推進します。グループ全体の限られたリソースをいかに配分するかも課題です。

 

グローバルFX事業は、短期および中期的に最も有望な成長分野の一つであり、当社グループのグローバル・ビジョン戦略の成果が最も早く発現する事業領域です。グループの技術資源および人的資源を活用して成長機会をいかに数多く獲得し、グループ全体の成長を牽引するかが課題です。
グローバルFX事業の基盤となるFX取引システムは、2011年に当社グループが買収したIBFX社の持つMeta Trader4(以下、MT4)プラットフォーム、および、トレードステーションが内製化を進めているFX取引プラットフォームの2つを、当社グループの全拠点に今後2年内に導入する計画です。FX取引プラットフォームのなかでも特にMT4は、先進的でアクティブ、かつハイエンドな顧客向けの取引プラットフォームとして、世界のデファクトスタンダードのポジションを獲得しているプラットフォームです。
共通プラットフォームをグローバルに導入することによるコスト効率化および収益機会の獲得は、当社グループの成長の原動力となります。既にマネックスグループのFX事業は、全世界におけるFX取引量ランキングでトップ10入りを窺う取引量を確保しています。今後、(1) MT4という差別化された取引プラットフォームの導入、(2) 内製化したFX取引プラットフォームをグループ内のみならず世界各国の証券会社およびFX会社に対して供給するB2B事業展開の更なる強化、(3) 米国におけるトレードステーションのFX取引プラットフォームの機関投資家向け提供等の施策を通じて、世界におけるFX取引量ランキングでより上位を獲得することも十分に可能となるでしょう。
加えて、FX顧客の注文によるオーダーフローをグローバルに一元管理することで、現状よりも高い収益性を実現することも、今後2年以内に確実に可能となります。

グローバル・ビジョン戦略が提供する新たな事業機会

以上に加えて、技術者リソースと内製のシステムをグループ内にグローバルに擁することは、今までにない収益機会の追求を可能にします。グローバルFX事業でも触れた、自社システムの他社供給すなわちB2B事業展開がその典型です。日本、米国(欧州含む)、中国(香港含む)およびグローバルFXの4つの事業領域での収益拡大を追求することはもちろんですが、マネックスグループのグローバルなネットワークとリソースから生まれる収益機会を逸することなく、積極的に発見し捉えて参ります。既に、こうした収益機会の発見のために、グループ内でのグローバルな人的交流や情報共有の仕組み、および経営体制の構築が着実に進んでいます。事実、今回のダラスでのGMCミーティングに参加した幹部社員メンバーは日米を中心にグローバルに構成されているほか、技術部門は米国の責任者が牽引するなど日常的な経営活動においても組織の融合が進んでおり、日本を出自とする金融グループとしては他に類を見ないペースで経営体制のグローバル化を進めています。

 

当社グループは、日本、米国(欧州含む)、中国(香港含む)およびグローバルFXの各事業における収益機会がもたらす企業価値向上に加え、今後4ヵ年の詳細なシステム開発計画等に基づき、グループ全体の固定費15%削減に向けたロードマップを着実に実行して参ります。

 

“MONEX”とは、“MONEY”の“Y”の一歩先を行くという意味を込めて“Y”を“X”に変え、「未来の金融」を表しています。 マネックスグループは、最先端のIT技術、世界標準の金融知識、そして最高の顧客サービスと投資教育により、あらゆる投資家が最良の金融市場と金融商品にアクセスできるようにすることを目指しています。以上申し上げた計画を着実に実行し、顧客への付加価値提供を通じて収益(=売上)で「1 billion company」(10億米ドル=日本円で800億円相当の売上を計上する金融グループ)となることを目指し、世界で他に類をみない「技術力に強みをもつグローバルなオンライン金融グループ」に向けた挑戦を続けて参ります。

 

株主ならびにお客さまを始め、あらゆるステークホルダーの皆さまのご期待に添えるよう、グローバル850人のグループ全従業員ならびに全役員が努力を重ねて参ります。今後も、当社グループの事業戦略「マネックス・グローバル・ビジョン」の達成の状況について、世界の金融業界を活気づけるような進捗をご報告して参りますので、引き続きご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

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