2011年、マネックスグループは自らのGlobal Visionをデザインし、公表し、その実現に邁進した年でした。年末に当たり、その総括を簡潔にさせていただきます。

 

現在、マネックスグループの連結収益の39%は海外収益(日本以外での収益)となり、グループ社員の67%が海外(日本国外)で働いています。これらの数字は、一年前には収益の100%が日本からで、社員もほぼ全員が日本で働いていたことを考えると、いかに猛烈なスピードでGlobal Visionの実現、或いはいわゆるGlobalizationを推進したかが分かります。これらは全て、我々の意志によりGlobal Visionをデザインし、我々の意志によりその実現に努めてきた結果です。

 

Global Visionとは、世界がボーダレス化していく中で、世界中の投資家が世界中の金融商品・サービスを欲するようになり、我々もそのニーズに対応していかねばならないという環境の下、グローバルにオンライン金融ビジネスを統合していくことにより、コストを抑えながら競争力を持つという二律背反を克服しつつ、投資家ニーズに応えていくという金融ビジネス的側面と、世界中の証券取引所のプロトコールが標準化していく中で、世界共通のシステム・プラットフォームを構築し、その上に各国別のアプリケーションを配置することにより、飛躍的に効率的なビジネス基盤を造ろうという技術的な側面の、二面を持った事業戦略です。

 

2010年12月の香港BOOM証券(現・Monex BOOM証券)の買収、2011年6月の米国TradeStation証券(米Barron’s選定、米国No1オンライン証券)の買収、2011年11月の米国Interbank FX (IBFX・外為(FX)専業会社)の買収という積極的なM&A戦略を現在の円高環境の中で機動的に実施し、上記のような収益のグローバル化と、Global Visionの実現に必要な様々なリソースを獲得してきました。

 

Monex BOOM証券は世界12カ国・17取引所への接続を有する、アジアで最も歴史のあるオンライン証券会社です。TradeStationは、その極めて高い評価を獲得しているシステムを基本的に全て内製化している、いわば高度な技術者集団です。IBFXは、そのシステムをやはり全て内製化し、世界140カ国に顧客基盤を持ち、SNSマーケティングなどを駆使する、先進的な外為専業会社です。そしてグループの基幹であるマネックス証券は、100万人近い個人顧客基盤を有し、日本で第二位の規模を持つ大手オンライン証券です。

 

TradeStationの技術、IBFXのネットワーク、Monex BOOM証券の香港証券会社という戦略的ポジション、そしてマネックス証券の巨大な顧客基盤、これらをマネックスグループの資本力と戦略によって有機的に結びつけることにより、Global Visionは実現されていきます。

 

現在マネックスグループでは、4つの大きな事業分野を推進しています。即ち、日本におけるオンライン証券ビジネス、米国(含む欧州)におけるオンライン証券ビジネス、中国(含む香港)におけるオンライン証券ビジネス、そしてグローバルなFXビジネスです。そしてこれら4つの事業を、共通のシステム・プラットフォームが支える構図にすべく、日々邁進しています。

 

TradeStationの技術を使ったアクティブ・トレーダー向けの日本株売買ツールの提供を2012年には始め、日本においても香港においても、米国株・先物・オプションのTradeStationサービスの提供を同じく2012年には始め、これらツール・サービスの本格化、システム全体の内製化とグローバルな共通利用を2013年には実施する予定です。マーケット情報についても、可及的速やかにグローバルに一元管理することにより、質の向上とコストの削減を図っていく予定です。

 

FXビジネスについては、IBFXの買収に伴い、グループ全体での顧客FX売買金額が、一営業日当たりで約30億ドルとなりました。これは世界的に見ても10位以内に入る規模です。この規模によるメリットと、140カ国にまたがる顧客基盤、15カ国語のコールセンターなどを活用し、FXビジネスのグローバル展開を一気に加速し、世界一を目指してまいります。

 

これからの最大の成長分野である中国においては、世界中のオンライン証券グループの中で唯一中国本土内に駐在員事務所を持っており、従来からの戦略である中国本土内に証券子会社を持とうとする方向性には変わりありません。そして同時に、中国本土との経済交流が益々盛んになる香港における100%証券子会社、Monex BOOM証券からの展開、更にはTradeStationの技術を証券会社としてではなく、当局の認可が必ずしも事業の前提とならない証券システム会社として加速度的に中国本土内に展開する戦略も並行して実施してまいります。

 

これらのアクティビティの中で、全ての拠点において常に最新の技術を追究し、グループ全体の技術水準を高める努力を惜しまないことはいうまでもありません。

 

Global Visionの実行には、人材面での融合・グローバル化も必須だと考えています。2011年11月には、TradeStation Groupの社長にマネックスグループのCOOを兼務させ、或いはマネックスグループのCSOにTradeStation GroupのCSOを兼務させるなど、経営陣における融合を進めると共に、現場での社員交流、国際的な異動なども実施しています。戦略的重要拠点である中国においては、将来の幹部候補生の現地採用も既に開始しています。

 

これら全てのアクティビティは、我々の強い意志のもとに、プロアクティブに実行されたものです。Globalizationの波に飲まれるのではなく、自ら積極的にGlobalizationをマネックスグループの成長のために活用していく戦略。それがGlobal Visionです。私たちは来年もこのGlobal Visionの実行を強力に推し進めていきます。そしてそれが、株主やお客様を始めとする全てのステークホルダーの方々に対するリターンの大幅な向上に繋がると信じています。2011年の総括を御報告するとともに、来年のマネックスグループにも是非御期待下さい。