グローバル・ビジョンとは?
グローバル・ビジョンとは、グローバルで新しいオンライン金融機関を造り、あらゆるステークホルダーに対して価値を提供していく、当社の世界中のグループ企業が取り組む、マネックスグループの事業戦略です。
インターネットの浸透により世界はボーダーレス化しており、また為替証拠金(FX)取引に代表されるように、そもそも金融商品自体がグローバルな存在であり、かつ金融・証券市場は24時間取引化が現実のものとなりつつあります。そのような環境変化を踏まえ、当社では、オンラインによる金融サービス提供ビジネスは、あるひとつの国だけで大きくなることを目指すよりも、複数の国にまたがって、各国拠点が協力し合いながら成長を目指す方が、より大きな成長と効率性、ひいては大きな利益を同時に達成できると考えています。当社が掲げているグローバル・ビジョンの根幹は、このような考え方です。
いまグローバル・ビジョン戦略が求められる背景とは?
インターネットの時代において、お客様は世界中のあらゆる金融商品・サービスおよび投資情報を欲しています。しかしながら、仮に各地域における証券会社が独力でお客さまのグローバルな投資ニーズに応えても、各地域のお客さまは自国通貨建ての金融商品へ投資を行う傾向、即ち「ローカル・マーケット・バイアス」という問題が存在します。さらに、海外市場商品の開発や、海外取引所への接続には大きな事業投資が必要ですが、それを行っても、必ずしも競争力のある金融商品・サービスを造れるとは限りません。しかし海外各拠点におけるグループ会社がグローバルに協働することにより、各社は得意とする、競争力のある自国市場の商品・サービスを開発し、それらを自国のお客様と同様に、グループ内の世界中にいるお客様に提供することが可能になるのです。
同時に、金融市場とそれを支えるシステムの世界的な標準化と共通化も、グローバル・ビジョン戦略を実行する重要な理由のひとつです。金融市場プラットフォームが、世界的に共通利用可能なシステムを利用する時代においては、少額の追加的コストをかけるだけで、ある国・地域において開発された金融商品・サービスは、他の国・地域において提供でき、ひいてはグループ全体の収益性と効率性を高めることが可能になります。
グローバル・ビジョンを実現するために必要なこととは?
私たちマネックスグループは、グローバル・ビジョンを実現するために2つの大きなアクションを取りました。即ち、2010年12月には香港でBOOM証券グループを買収し、2011年6月には米国トレードステーショングループを買収したことです。この2社は当社の戦略的ビジネスポートフォリオにとって大きな経営資源の追加であり、一社では成し遂げられない夢と野望の実現につながるものと私は確信しています。
ブーム証券は、アジアにおける最初のオンライン証券として香港に設立されました。ブーム証券は12カ国・地域の17の市場に対する証券投資のアクセスを提供しています。ブーム証券の“TRADE LOCALLY, INVEST GLOBALLY”という標語は、インターネット時代における金融・証券取引における優れた先見性を表しています。
トレードステーションは米国フロリダ州に本拠を置くオンライン証券会社グループです。トレードステーションは2008年および2011年に米国ダウ・ジョーンズ社の発行する投資情報誌”Barron’s”においてオンライン証券・総合1位の評価を得ており、2011年には同時に「アクティブ・トレーダー向けサービス」「技術開発力」そして「顧客サービスおよび顧客教育」の分野でも1位の評価を得ています。トレードステーションは最も先駆的なトレーディング技術を提供する、米国オンライン証券業界において最先端に位置するオンライン証券会社です。
グローバル・ビジョンがもたらすもの
マネックスグループが、ブーム証券グループとトレードステーションと共に創り出す戦略的機会は無限にあります。
トレードステーションの強力な技術力、ブランド、トレーディングツール、そして顧客サービスの取り組みは、日本そして中国・香港において大きく展開し、成功させることができるでしょう。日本におけるマネックスのお客様は、世界最先端・最強のトレーディング・ツールを利用することができるようになります。全米1位というトレードステーションのブランドは、中国本土における当社の事業展開を飛躍的に加速させるでしょう。また、ブーム証券が有する世界の証券市場へのアクセスは、日本そして米国の顧客にとっても新しい魅力を提供することが可能です。さらに、マネックスが創業以来十年以上かけて造り上げてきた幅広い優れた商品サービスラインナップを、トレードステーションおよびブーム証券のお客様が利用することも可能になるでしょう。
株主の皆様の観点からは、グローバル・ビジョンは新たな収益機会とコスト面のシナジー効果を生み、株主価値を最大化していくビジョンです。私たちはコストを各拠点で、そしてグローバルに削減することに全力を尽くします。具体的には、4年後まで(2015年)をめどにグローバル・コスト・シナジーによりグループ全体の固定費を20%削減することを目標としています。また現状20%の営業利益率を、同様の時間軸をめどに、40%まで高めることを目標としています。
課題は何でしょうか?
グローバル・ビジョンはエキサイティングなチャンスですが、同時に乗り越えるべき課題にも直面しています。グループの利益率は各地域で低下しており、重大な課題として取り組んでいかねばなりません。また顧客基盤の更なる拡大のために、営業活動も強化しなければなりません。
これらの課題を乗り越えるためには、私たちは忍耐強く課題に取り組み続けねばなりません。しかしグループ社員一致団結することにより、きっと乗り越えられると私は信じています。そしてお客様、株主の皆様を含めた全てのステークホルダーの方々と、当社の輝かしい未来を共有・実感できる日を楽しみにしております。